十六話 もうそろそろだ

 証拠集めも進み数日経った、そろそろ決着を付けたいが、ヤツがいつ莉乃りのを呼び出すかだ。


 機を窺っていると、莉乃から今日呼び出しがあったとの連絡が入る。


 それによれば、今日も俺の家でヤるらしい。

 飽きねぇなぁ…ある意味感心するよ。


 俺はそれを母さん、彩藤さいとうさん、義母に伝えた。

 のぞみも来たがっていたが、彼女はあくまで証拠集めをしてくれただけで、当事者や関係者とは言えない。


 機を見て事の途中に乗り込む事にした。



 しばらくして全員が集まり、突撃するタイミングを伺う。

 ちなみに母さんと元義母は弁護士も連れてきたようで、合わせて六人での突撃となる。


 今は近くで待機だ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 私は今日、あの人に呼び出された。


 いつもの時間に家で待ってるとの事で、その旨をハル君に連絡する。



 時間になり、いつも通りインターホンを鳴らすと、あの人が出てきた。


「やぁやぁ莉乃さん、待ってたよ。さぁ上がって…」


「お邪魔します」


 もう何度目だろうか…最初の頃はお金が貰えると思い楽しい気持ちもあったが、お金が欲しかったのはハル君とデートをしたり、そのためのオシャレに使うからだ。


 その必要が無くなった今、ただ憂鬱ゆううつなだけ、嫌な気持ちになるばかりだ…。


 彼に案内されるまま見知った廊下を歩き、彼の部屋に入る。


 …この部屋は私の初めてをハル君に捧げた場所…それが、私たちの関係を壊した場所にもなってしまった。

 私に後悔する資格なんてないけれど、やっぱり悲しい気持ちになる。


「やぁやぁ待たせたね、さぁ始めようか。ほら、脱いで脱いで」


 相変わらず私に脱ぐよう急かしてくる…。気持ち悪い…。


 この家に入る前にハル君には連絡したから、しばらくしたら来ると思うけど…。


 時間を稼ぐ為に、いつもよりゆっくりと服に手をかける。


「全く、最近脱ぐのが遅いじゃないか、俺が脱がしてやらんとなぁ…んふふ」


 そう言って彼は私の服…というかスカートに手をかける。いつも通りだ。

 そうしていると、部屋の外から足音が聞こえてきた。

 そろそろかと思ったが、それにも関わらずこの人は焦る様子がない…どうして?


 不審に思っていると扉が開かれる。


「うぃーっすぅw、やってますかァw」


 現れたのは、全く知らない人。

 すごく軽薄そうで、まるで不良のような…。

 全身が強ばる、今の私は服を全て脱いだ状態だ。


「え…誰ですかこの人は…」


 自身の体を抱き、恐ろしくなって粕斗に尋ねる。


「あぁ、彼はまぁ…協力者みたいなものさ。これから君の事を二人で楽しむためのね…」


 背筋が凍る…どうなるかわからないかもしれない…。

 もしかしたら、二度と戻れないかも…。


「ふはは、すっかり怯えているなぁ…大丈夫だ、いつものようにしていれば何も怖くないさ…」


 そういって彼は私の胸に手を添えてきた。

 おぞましく、恐怖に身体が震える。


「…いやっ!」


 考えるより先に拒絶した。

 しかしそれが良くなかった…。


「うわっ…全く、人が優しくしていれば!」


「いやぁ!」


 私は怒ったクソジジイに押し倒された。

 がっちりと手を押さえられ動けない。


「さぁ酒匂さかわ君、カメラの用意をしてくれ」


「おっすー」


 そういって彼はゆっくり近付いてくる。


 その足音は私にとって、絶望の足音だった…。

 私は彼に押し倒され、覆いかぶさられたことで身動きが取れない状況。


 後から入ってきた…酒匂という人がゆっくりと近づいてくる間、私は無理やりキスをされる。…気持ち悪い。


 片方の手は私のアソコに伸びており、指が入ってくる。

 濡れていないのですごく痛い。


「ふふ…たっぷり楽しませてやるからなぁ…さぁ酒匂君、準備はいいかね」


「いいっすよ」


 そう言って酒匂という人は手をパンパンと叩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る