Noトラブル!Noライフ!スピンオフ
とりのめ
トム・スミスを殺す椅子
【有名なあの椅子よりトム・スミスに限って言えば致死率100%】
弊社にはひとつのジンクスがある。
とある部署のとある位置にあるデスク、ここに座ったトム・スミスは何かしらの要因で死亡している。それも全員。因みに、トム・スミス以外は無事である。誰も欠けたりしないのだが、何故かトム・スミスという名の男はこの席と相性が悪かった。
相性が悪い、などという言葉で済ませられない確率で、今回も異動してきたトム・スミスにこのデスクの事を包み隠さず全て話した。彼は上司から言われた言葉が、全く持って信じられない、と笑い飛ばす。このデスクにつけば自分が死ぬ、と言われてもにわかには信じられなかった。彼はそんな噂を気にせず、そのデスクを使って仕事を始める。周囲はそんな彼を心配そうに見つめ、今度の男はどれくらいここにいられるのだろう、と半ば諦めるしかなかった。
3年後、彼は突然この世を去った。
交通事故だった。ハイウェイで渋滞のところに大型トラックが突っ込んできて、彼の車を含む何台もの車を巻き込んだ大事故を起こした。死者負傷者多数で、彼の名前は死者の側にあった。
車は炎上し、身元を明らかにするのに時間を要するほど損傷が激しかったと聞いた。
そんな事が立て続けに起こるのに、弊社は変わらず異動でトム・スミスをこの部署に配属させる。
今度のトム・スミスは若く、日に焼けた逞しい体躯を持つ青年だった。
「……お噂はかねがね」
彼は自らそう言って笑顔を向ける。
「しばらくお世話になります。……名乗る必要あるかな、いや一応。トーマス・スミスです、どうぞよろしく」
トーマスは笑顔で上司や同僚に握手していった。
長期出張が今までのトム・スミスより多いが、彼は順調にこのデスクでまだ働いている。
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