第七話 嫌味②
「さくらさん、お聞きしてもいいですか?」
「何でしょうか?」
「本当にこの診療所に用心棒が必要なのでしょうか? 噂に惑わされて雇ってしまったのだとしても、食い扶持が一人増えただけのような気がしますが?」
「常に大人の男性がいるというだけでも、ある程度の抑止力になっていると思います」
「そうでしょうか? 私には、ただ猫とジャレあっているようにしか思えません。まだ子供たちのほうが何かと働いているのではないでしょうか?」
「いていただけるだけでも安心感があります。そういう意味では、役に立っていると思います」
さくらは高盛の嫌味を聞き、やはり心之介のことを良く思ってないのだと改めて感じた。
一方の高盛は、さくらが何かと心之介の肩を持とうとするので、いい気分ではなかった。
だから、どことなく場がギクシャクしそうな雰囲気になった。
と、そんな折、戸を叩く音と弱々しい声が聞こえた。
「さくら先生や、開けておくれ」
お加代だった。
「心之介さま、お願いします」
「分かりました」
心之介はさくらに軽く会釈をしてから部屋を辞した。
さくらは申し訳なさそうに心之介を見送った。
そして、二人きりになると、高盛は機嫌を直して再び話を始めた。
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