第65話 一度だけなら構わない
長いシステムメッセージを聞き終えたら、鬼童丸は称号から順番に確認し始める。
(<掃除屋殺し>は思ったより実用的だな)
NPCからの好感度が上がるだけかと思ったら、掃除屋と対峙した時に能力値が1割上昇する効果もあったため、鬼童丸は実用的だと感じた。
<掃除屋殺し>自体は掃除屋との戦闘で少しでも戦えば貰える称号だから、今後も掃除屋が出て来ることを考えれば是非とも獲得しておきたいものと言えよう。
(称号の取得条件がラストアタックを決めた者だけとかじゃなくて良かった)
仮にラストアタックを決めたものだけが獲得できる称号だったとしたら、<掃除屋殺し>欲しさにギスギスするかもしれない。
ちなみに、フレッシュゴーレムのカードが手に入ったのは鬼童丸だけなのかわからない。
それは鬼童丸が称号と併せてフレッシュゴーレムのカードも調べた際、取得条件が記されていなかったからわからなかったのだ。
次に、従魔が新しく会得したアビリティの中でも初めてみるものを順番に見ていく。
ドラピールの【
アンデッド限定のエリクサーをアビリティで代用しているものと考えれば、ドラピールはとんでもないアビリティを会得したと言えよう。
その分MP消費は激しいから、【
デスライダーの【
ただし、他のアビリティを使う時は霊体化が解除されるので、物理攻撃しか使えない敵にはそこを狙われる可能性がある。
そうなると物理攻撃しかできない相手からヘイトを稼いだ時は、何もしないで通常攻撃をさせると一方的に攻撃できるという訳だ。
これも使い方によってはかなり強いアビリティである。
リビングバルドの【
素直に嬉しい強化と言えよう。
レギマンダーの【
ヨモミーナの変化は鬼童丸の従魔の中で一番大きく、【
【
髪に関する統合型アビリティということで、ヨモミーナが使いこなせればかなり強い。
【
【
(ふぅ、やっと見終わった。ちゃんと使いこなさないと)
鬼童丸はシステムメッセージの内容を確認し終えたところで、周りの様子を見た。
「ん? なんでみんな俺を見てるんだ?」
その質問に答えるのは宵闇ヤミだ。
「みんな鬼童丸さんがフレッシュゴーレムのカードを手に入れたのか知りたいんだよ」
「あぁ、手に入れたぞ」
「ということは、掃除屋のカードは他のボスとかと違ってラストアタッカーのみゲットできるってことなんだね」
「多分そうじゃないかな」
この事実は検証班を盛り上がらせた。
ラストアタックを2人で決めればどうなるのかという点が気になるらしい。
内輪で議論に入ってしまっては勿体ないと思ったようで、ジョブホッパーが提案する。
「折角なので、ここにいるメンバーで1つ検証してみないか?」
「どんな検証だ?」
ジョブホッパーの提案にリバースが訊ねる。
検証は大事だけれど、検証は時間がかかるものという認識があるから時間のかかりそうなものは辞退したいと言外に告げているのだ。
「時間はそんなにかからないから安心してほしい。やるのはガチャだ」
「「「「ガチャ?」」」」
鬼童丸とヴァルキリー、リバースは普通のテンションであり、宵闇ヤミはトーンこそ普通でも目は輝いていた。
「やろうと思っているのは大人数でガチャを引いたことによる影響の有無の確認だ。ここにいる30人以上が一斉にガチャをすることでシステムに影響が出るか確認したいんだ」
「一度だけなら構わない」
「全然OK」
「私も一度だけなら」
「俺も一度だけなら良いぞ」
宵闇ヤミは配信者ゆえにガチャを引く企画に乗り気であり、鬼童丸とヴァルキリー、リバースはガチャよりもショップでネクロを使った方が良いと考えている。
とりあえず、一度だけ検証に協力することにしてジョブホッパーの合図で鬼童丸達は一斉にアンデッドガチャを引いた。
鬼童丸達はガチャのアニメーションを目にする。
宵闇ヤミのように両手を組んで祈る者もいるが、当たり演出が出たのはヴァルキリーを含めて3人程度である。
(残念、外れたか)
今の鬼童丸にとって10万ネクロはポンと出せる金額ではあるけれど、再チャレンジはしたいとも思わないから別の作業を始める。
その作業とは
検証結果が出るまで少し時間がかかるだろうから、自分が
それから少しして、鬼童丸は1つ見つけてしまった。
デスライダーとアッシュレックス、デメムーストの3体を
(今のところアッシュレックスを使いこなせてるとも言えないし、デスライダーの強化になるならやってみるか)
デスライダーは今より強くなることは確定しており、デメムーストは武蔵野プレイスでの戦闘で手に入れただけだから、アッシュレックスを失う覚悟があるなら
鬼童丸は覚悟を決め、
3枚のカードが合体するエフェクトが発生し、新たな融合アンデッドが誕生した。
その光は普通の
エフェクトが収まったところで、ジョブホッパーが鬼童丸に話しかける。
「鬼童丸さん、よろしければ
「判断は一旦自分の目で調べてからだ。自分も知らない情報を無責任に広める気にはならんのでな」
「わかった」
鬼童丸はどのフレンドにも新たな融合アンデッドのステータスが見えないように設定しているため、自分だけで新たな融合アンデッドのステータスを確認するべくフロストヴィークルに乗ってこの場から離れる。
人気がなくなったところで、鬼童丸は新たな融合アンデッドを召喚する。
「
召喚された融合アンデッドは、灰色の東洋龍に騎乗した深淵の騎士だった。
そのステータスも鬼童丸はすぐに確認し始める。
-----------------------------------------
種族:アビスライダー Lv:1/100
-----------------------------------------
HP:6,000/6,000 MP:6,000/6,000
STR:6,100(+200) VIT:6,100
DEX:6,000 AGI:6,000
INT:6,000(+200) LUK:6,000
-----------------------------------------
アビリティ:【
【
【
装備:
備考:なし
-----------------------------------------
(おぉ、初めてのレベル上限100か。しかもデフォルトの武器が強い)
怨龍剣サーストはアビスライダーのSTRとINTを200ずつ上げるだけでなく、斬った敵を乾燥+出血状態にさせる首切り包丁であり、ブラッディブッチャーと比べてかなり強かった。
能力値的には辛うじてドラピールの方ちょっと上ぐらいまで強くなっており、アッシュレックスの要素もちゃんと残っていることから、鬼童丸はアビスライダーの
その後、宵闇ヤミたちと合流してアビスライダーがレベル上限100かつ強力な武器を持ったアンデッドモンスターであることを告げると、その場は大盛り上がりになり、この日は掲示板もアビスライダーの話がスレッドを跨いで行われるのだった。
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