第4話 心の奥に隠された扉
菫と嶺零が初めて心を通わせた日から、二人はまるで無意識のうちに、互いを求め合うようになっていた。学校では、二人が同じ教室にいるときだけ、周囲の雑音や恐怖が消え去り、静かな安心感が広がる。そんな時間が二人にとって唯一の心の拠り所となっていった。
ある日、菫は自分の心の中に、ずっと気づかなかった扉があることに気がついた。その扉は、まるで自分が作り上げた防壁のように、固く閉ざされていたが、嶺零と心を通わせたことで、その存在が明らかになったのだ。
菫はその扉が何を意味するのか、なぜ今になってその存在を感じるようになったのか、疑問を抱きつつも、次第にその扉に引き寄せられていった。嶺零との交流が続くうちに、その扉が少しずつ開き始め、菫は自分の中に隠されていた本当の気持ちや恐怖、そして願望に触れ始める。
一方、嶺零も同様に、自分の心の中に閉じ込めていたものを解放し始めていた。菫と共に過ごす時間が増えるにつれ、彼女の心の中にある扉もまた、静かに開き始めていた。嶺零はその扉の向こうに、これまでに感じたことのない感情が広がっていることを知り、菫と共にその扉を開く勇気を得る。
ある日の放課後、二人は再び教室に残り、静かに過ごしていた。その時、菫は勇気を出して嶺零に問いかけた。
「嶺零、あなたも感じている? 私たちの心の中に、何か隠されている気がするの。」
嶺零は一瞬驚いたように菫を見つめたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「私も同じ。心の奥にある扉が少しずつ開いていくような感じがするの。」
二人はその瞬間、共に感じていたものが同じであることを知り、互いの存在が自分にとってどれだけ特別かを再確認した。心の奥にある扉は、彼女たちにとってこれまで隠してきた感情や恐怖、そして願望を解き放つ鍵となることを示唆していた。
二人は、その扉を完全に開く決意を固めた。心の中で深く繋がり合うことで、自分たちの内に秘めた本当の力と向き合い、これからの道を共に歩んでいくことを誓うのだった。
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