【番外編】うちの課に配属された新卒の女の子の……名前は「竹村 春」
「あ~お昼ごはんが美味しい…」
中島「…何、訳の分かんないこと言ってんの!?」
「中島…お前には分かんないよ…ハネムーンベビーをぶち当てたお前には…」
中島「…ますます分かんないんだけど、ハネムーンベビーと社内食堂のお昼の定食と何の因果があるの?」
「…だって、この定食…ちゃんと味があるんだもん」
中島「ねえ、三月。頭大丈夫?悩み事があるなら相談に乗るよ?」
…相変わらず良い奴だなあ!中島くん。
でも…君にはうちの
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30代もなかばを越えると、お互い役職もついてくる。
課長代理…ただうちの課は、課長がいないので実質俺が課長みたいなもんだ。
周りは出世頭とか言ってるけど、何のことは無い…給与据え置きで仕事と責任だけ増えただけ…
まあそれでもプライベートでは、転勤だ流産だ転職だと…負のスパイラルに陥っていた嫁の沙織が待望の妊娠。
…は、もちろん喜ばしいのだけれど、凝り性の沙織は「妊娠中毒対策料理!」とやらに凝りはじめて…
「(これが塩気がほとんど無い…)」
かといって、一緒に朝晩を食べない選択肢も一人だけメニューを変える選択肢も俺には無く。
当時の俺は「うちは絶対一人っ子で良い」と決意を新たにするくらいは我が家の食事に疲弊していて。
…本当に…本当にお昼ごはんが上手かったんだよっ!!
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中島「もうすぐ新卒入社社員が初期研修終わらせて部署配置だね。三月のところはどうなるの?」
「…それがさ、俺たち課長代理じゃん。人事データ貰えないんだよ」
中島「何それ?僕はともかく三月のところは実質三月が課長なのに」
「まあ、仕事はともかく職階が間に合ってないってこんなもんじゃないの?実際俺たちは管理職じゃないから成約手当貰ってるしね」
中島「でも困るよね」
「…うん…すげえ困ってる」
で、親切な中島が付き合ってくれて、俺たちは営業次長にカチコミにいった…が、結局、営業の男性二人・営業補佐の女性が一人入ることしか教えてくれないでやんの。
…何が「来てのお楽しみ」だっ。ふざけんじゃないっての!!
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?「営業補佐を拝命いたしました、竹村 春と申します。皆さま宜しくお願いいたします」
「(…嘘)」
一目見た瞬間から予感はしていた。
…だってハッキリと面影があるんだもん。
その面影は…まんま深窓の美少女…
(画像)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093085904286520
ヒロシ「…と言うことで、営業補佐の竹村さんの教育は、桂木課長にお願いしま~す」
「ちょっと待てヒロシ!勝手なこと言うな!」
ヒロシ「…めんどくさがって新人の教育担当の割り振りを俺に押し付けたの三月さんですよね」
うちの課のナンバーツーがそう言って笑う。
ヒロシ「だいたいうちの課に営業補佐が入ったのなんて初めてなんだから、誰も教育なんか出来ません。宜しくお願いします!」
「…」
ヒロシ「竹村さん、そういうことで当座の君の仕事は課長にくっついて回ること」
春「はいっ!」
ヒロシ「あ!これだけは言っておかないと。この人、ウルトラプレイボーイだから気をつけてね。定時越えたら絶対近づかないほうが良いよ?」
「ヒロシっ!」
ヒロシ「お~怖っ。じゃあ邪魔者は消えます~」
お…覚えてろよあのガキ。今度の大プロジェクトは絶対にあいつに回すっ!
春「あ…あのっ!これから宜しくお願いいたしますっ、課長!」
「うん…宜しくね。ちなみに俺はたまたま課長がいない部門を取り仕切っているだけで本当は課長代理だから社外以外は課長って呼ばないでくれると嬉しい」
春「はいっ…では…課長代理と?」
「…それも何かムカつくから嫌。みんな『桂木さん』とか『三月先輩』とか適当に言ってるよ」
春「では、社内では三月先輩と」
「うん、良いね」
春「…で?社外では桂木課長…プライベートでは、また『みっくん』で宜しいですか?」
「…」
…覚えているのね…
竹村 春ちゃん。今は辞めてしまった仲の良かった
そして…もしかしたら俺が…不幸にしてしまったかもしれない女の子…
美しく成長したその子は…不思議な微笑みを俺に向けていたんだ。
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