ミニスカヒーロー令嬢!
藍条森也
見参! ヒーロー令嬢!
一章 ヒーロー令嬢、その名は花恋!
「
「きさまは伯爵令嬢という立場をかさにきて、ここにいる可憐なる男爵令嬢、
レンブレッド侯爵家次男、
そして、その後ろでは数人の見知った男たち、王立学園の同級生である貴族令息たちがニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて見下している。
――やられた。わたしは
それを見れば、自分がどんな罠にはめられたかぐらいはいやでもわかる。
――わたしは
――レンブレッド侯爵家の怒りを買うわけにはいかない。わたしのみならず、マクシミリアン家そのものにまで
この場でなにも言わずに引きさがれば、公衆の面前で悪事を
――大切なお父さまやお母さま、将来のある弟たちにまで害が及ぶよりはまし。そうよ。わたしひとりが我慢すれば……。
自分ひとりが悪役となって引きさがれば、とりあえずは丸く収まる。大切な家や家族にまで被害が及ぶことは避けることができる。
――お父さまに事情を話し、マクシミリアン家から追放していただこう。そうすれば、少なくとも家族だけは無事でいられる……。
今後の人生はきっと、ひどく
――そうよ。わたしひとりが悪者になれば……。
愛する家族のため、
悲しみで胸がいっぱいになるのはどうしようもない。思わず、一粒の涙がこぼれ落ちた。白い
突然、会場の光が消えた。
ヒーロー令嬢
ヒーロー令嬢
素敵で無敵な ア・アアン~
その名は
その名は
可憐な
「こ、この歌声……! まさか……」
暗闇に閉ざされた
スポットライトが放たれ、会場へといたる階段の上に立つ、ひとりの人間の姿を照らし出した。
大理石のようになめらかで、太陽のように光り輝く透明な肌。それと
すべての女子が憧れ、男という男が食い入るように見つめてしまう。
まさに、そんな美少女だった。
「やはり、きさまか! ヒーロー令嬢、
そのなかを、美しい歌声を
陰謀渦巻く宮廷で
合点承知!
駆けつける
できないことなど ナイナナイナイ
片目を閉じた
許さない
素敵 無敵
どこにも敵なし
令嬢パンーチ
愛あるお仕置き
誰にも負けない
令嬢キッーク
ヒーロー令嬢
ヒーロー令嬢
素敵で無敵な ア・アアン~
その名は
その名は
可憐な
歌が終わると同時に再び会場に光が灯る。
突然、光に満たされたことに出席者たちが目を覆うなか、ヒーロー令嬢、
「ヒーロー令嬢、
その決め台詞に会場を埋め尽くす令嬢たちから一斉に黄色い歓声があがった。
その歓声を浴びて、
「
「きゃあ~!
と、居並ぶ令嬢たちから失神寸前の叫びがあがる。
「な、なにが『罪なき』だ! こいつが
しかし、
「愚か。見え透いた策略にはまって、真に自分を愛してくれる婚約者を捨てるとは。お前に人に愛される資格はない!」
「な、なに……?」
「見よ! すでに調べはついている。これこそ、
そこには、
「こ、これは……」
紙面をみる
「
「くっ……。もはや、これまで! やっておしまい!」
動かぬ証拠を突きつけられ、追い詰められた
「くそっー! 協力したら、いいことしてくれるっていうから協力したのに……」
「これで、おれたちも共犯だ。もう終わりだ!」
「あのままなら、
「おれたちはもう終わりだ! だが、ヒーロー令嬢! おれたちを破滅させてくれたお前だけは道連れにしてやる!」
男たちは口々にそう叫び、
「笑止! 恨み言は目先の利にとらわれ、悪事に荷担した自分自身に言うがいい!」
とーう! と、ヒーロー令嬢、
「ヒーロー令嬢、可憐なパーンチ!」
「ヒーロー令嬢、可憐なキッーク!」
「ヒーロー令嬢、可憐な真空反動三段ハリケーン!」
声とともに
すべての男がだらしなく床に這いつくばったころ、衛兵たちが駆けつけ、男たちとともに首謀者である
「
「
「よかったわ。あなたがあんな愚かな男と結婚して、不幸になる未来を防げて……」
「
「あんな男のことは忘れなさい。そして、あなたにふさわしい
そう言って、
窓から夜の闇へと出て行く寸前、振り返り、可憐な唇に二本の指を添えて、投げキッス。可憐な令嬢キッスで居並ぶ令嬢たちをバッタバッタとなぎ倒し、夜の闇へと姿を消したのだった。
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