違法軍事アンドロイドが感情を手に入れるまでに必要なたった一つの大切な事
記録媒体No.--
プロローグ
アラームが先刻から永遠となり続いている。
コンセントから延びる黒く太いケーブル。
この部屋にはただ、それだけしかない。
「ああー!これはっ!完全に遅刻ですよおー!」
静かだった部屋に素っ頓狂な声が響き渡る。
白亜のボディに天井まで届くような体躯。関節にはギア。首元には燃料やオイルの投入口。
そして、背面には壁のコンセントから接続されたケーブル。
所謂アンドロイドと呼ばれる者がスリープモードから再起動を果たした。
「いやあ、これはとても間に合いそうにありませんねえ……!」
暫くアンドロイドが、部屋の中をウロウロと歩き回る。コンセントに繋がれたままなので、まるで鎖に繋がれた犬に見える。
「今日の予定は全てキャンセルです!皆さんとピクニックに行きましょう!」
何やら大変良い事を思いついた様だ。人差し指をピンッと立てる。
「そうと決まれば早速急ぎますよー!」
勢いよく部屋を飛び出そうとするが、無論コンセントが壁に繋がったままなのでアンドロイドは壁に引っ張られた形になった。
「ぬおおおおー!!!」
重量物であるアンドロイドが床に叩きつけられる音はこのアパートの家賃が安い理由でもあったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます