故郷での夏の日々

@curisutofa

エピソード一 夏の日の夕暮れ

『『ドポオンッ!』』


着ている衣服を全て脱がれた御孫様が、勢い良く川に飛び込まれました。


「ブクッブクッブクッ…」


川に飛び込まれました御孫様が、冷たい川の水中から水面を見上げているのが見えます。


『バシャアッ。ポタッポタッポタッ…」『暑い夏の日に草毟くさむしりをした後に、こうして冷たい川の中に飛び込み水浴びする爽快感は、街で暮らす人達には味わえない楽しみですね』


川の水の中から姿を現された御孫様が夕陽に照らされながら、御爺様であらせられる地主様と同じ金髪ブロンデス・ハールから水滴を垂らしつつ仰せになられましたので。


『御孫様は自分達農奴とは異なりまして、純白アラバスター・ヴァイスの肌色をされていられますから、暑い夏の日の直射日光を浴びますと日焼けをしやすいです』


黒髪シュヴァルツ褐色ブルネットの肌色をしている自分の話しに対して、金髪ブロンデス・ハール純白アラバスター・ヴァイスの肌色をされていられます御孫様は、同い年の農奴である自分に瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳の視線を向けられまして。


『貴方の言う通りですね。夏場の除草作業を行う際には、麦藁帽子シュトロー・フートを被り草毟くさむしりをしていますけれど。日焼けをしたうなじに少し痛みを覚えています』


自分は両親も地主様が所有なされていられる農奴ですので、外の世界の事はあまり知りませんが。地主様の御孫様が奴隷身分である農奴と一緒に草毟くさむしりするのは、かなり珍しいようです。


『先に川に飛び込ませてもらい感謝をします。次は私が脱いだ服の見張りをしますから、貴方も水浴びをして身体を冷やして下さい』


地主様の御孫様は平民身分ですが、奴隷身分の農奴である幼馴染みの自分に対しては、同じ仕事をする仲間として接して下される、非常に物腰の柔らかい美少年です。


『はい。有難う御座います。御孫様』

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