第15話 森の深部
わたしは、ノアールに視線を送る。ノアールはニッコリと笑いながら歩き出した。
ノアールとわたしは、レイバー達3人が
「おい!」
レイバーの大声が聞こえた。指示を無視されたことに機嫌を損ねたのか、不用意に戦闘の場に割り込んだことに憤ったのか。
どっちにしても無視だ。
ノアールとわたしは、レイバー達の脇を抜けて森の奥へ向かおうとした。すると、レイバーと向かい合っている
オオォォォォーン
一番左側にいた
ノアールの双眸が
「動きを封じる魔法か?」
ああ……レイバー達には、そう見えたか。
そう言う面倒なことをノアールはしない。ただ単に
ノアールが、右半身を覆っているマントの端を左手で持ち上げた。マントの下から、鉤爪の右手が表れて
突然、黒い砂になり崩れていく
「おい! 何が起こった? 何をした?」
背中からレイバーの大声が響く。先ほどよりも更に感情が高ぶっている。この様子だと、例の約束は完全に忘れているな。
問い質されても面倒だから、残り2体の
レイバー達なら、何とか切り抜けるだろう。
大声をあげるレイバーと他2人をその場に放置して、ノアールとわたしは森の深部へ向かった。
明らかに森の様子が変化している。草木の色が緑ではなくなり、毒々しく黒ずんだ紫色になってゆく。
「これ……いつの間にか、ズレた世界に引き込まれちゃったの?」
強力な魔力があれば、この世界とそっくり同じような疑似空間を作れる。その疑似空間は、作った魔物の結界であり、ズレた空間に引き込まれると言うことは、相手の結界に閉じ込められることだ。
「いえ。これは、皆この世界の存在ですよ。この森に集まってきた魔が草木を依代にして、実体化しているんです」
草木が魔物になった……魔力を集める強力な呪いが森にかけられたのか?
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