第32話 オレ様元カレに連れ去られる私です
金曜日。
いつの間にか週末が迫っている事に焦る
予定では結婚を前提にしたお付き合いを申し込んで、さっさと『指輪』を渡しているはずだったのに。
——いや待て。
これから交際をあらためて申し込んで、指輪を渡し、それから楽しい土日を過ごすのはどうだろう。きっと
ところが夢乃は同僚の女子社員と食事に行ってしまう。鷹田は昼休みに話しかけるチャンスを失ってしまった。
しかしなんとしても今日中にお付き合いの申し込みをしたい鷹田は、夢乃の退社時に待ち伏せをした。
「あっ、お疲れ様です。鷹田さんも帰るところですか?」
そう挨拶をしながらも、夢乃は内心、警戒している。二週連続で鷹田の家に行く羽目になったからである。
鷹田はその警戒に気づいているのか、平静を装いつつ一緒に帰ろうと自分の車に誘った。
「ああ。今日は車で来てるんだ。君も帰るのなら送ってくぞ」
「え? いえ、私は電車で……」
「どうせ帰り道だ。乗っていけば良い」
「は? あの?」
「社の地下駐車場はこっちだぞ」
上手に背中を押されて、夢乃はあっという間に地下駐車場行きのエレベーターに乗せられる。
「ちょっと、鷹田さん?」
「いや、ちょうど良かった。いつも世話になっているからな」
「いえ、それはいいですから……」
気がつけば鷹田の愛車、黒のRX8の助手席に押し込まれる。
——私、誘拐されてる??
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます