第30話 友人・黒井のアドバイス


「だから謝るのが先でしょ?」


 黒井くろいは昼食のために立ち寄った定食屋で『おすすめランチ定食』を食べながら鷹田たかだにアドバイスする。


 鷹田の前には水の入ったコップだけ。相変わらず夢乃ゆめのがいないと食欲がわかないらしい。


「責任取れ」といわれた黒井は『おすすめランチ定食』が来るまでの間に、鷹田がプロポーズ用の指輪を買ったところまで聞き出した。


 ちなみに『おすすめランチ定食』のメインはチキン南蛮タルタルソースかけである。それで白米をかきこみながら、『いきなりプロポーズ』を阻止したのである。


 というわけで「夢乃への謝罪」が先、という話になった。


「今更、謝れと言うのか……?」


「それが一番最初に鷹田チャンがすることだよ!」


 時間が経てば経つほど謝りにくくなっているのは否めない。しかし拗れた原因を解消しないままプロポーズしても砕け散るだけである。


「善処する」


「約束だよ! ちゃんと謝ってよね」


 そう言うと黒井は赤味噌にワカメと豆腐の味噌汁を口に運んだ。





 つづく

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