異世界、竜堕としの田中さん

雪 牡丹

エピソード0 :序章


田中は激怒した。


必ず、一つの異世界に何人(?)いるかも分からない【竜娘ドラゴン・ガール】共に激怒した。


田中に異世界の事情なぞ露知らぬ。


田中は古き良き日産であり、生粋なオタクにして、元サラリーマンである。


「タナカ~おかわり? とにかく、おかわり!!」


……故に、田中は決してシェフでもなければ、執事でもない。

田中はどこにでもいる、極普通のサラリーマンである。


それこそ、幼い頃や学生時代は同志たちとゲームに明け暮れ、バイト代は全部ガチャに吸われ、漫画喫茶に入り浸り、古今東西の神作同人誌を読み漁り、大人になっても脱沼できなかった、陰キャであった。


———だのに。


「タナカ~」

「タナカさん」

「タ―くん♡」


話せば長くなるため、ここでは省くが、田中に大それた【スキル】はない。

異世界あるある、俺TEEEどころか、それ以前の話。


「お前、タナカ……よくその体たらくで生きて来れたな……逆に尊敬するぞ」

「ひっ」


けれども、そんな田中であろうと、秀でるとこを上げるならば。非オタ(つまり陽キャ)に対しては、人一倍どころか35憶倍くらいであり、その分のを感じていた。


大事なことゆえ

此度登場する田中は祖国に純粋培養されたオタクにして、平々凡々なサラリーマンだった。


のである……。

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異世界、竜堕としの田中さん 雪 牡丹 @yukibotan1999

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