パトリック・ネス『怪物はささやく』

ダークな雰囲気の表紙に惹かれて手に取りました。


闘病中の母親と暮らすコナーくんという男の子のもとに、夜な夜な怪物がやってきて不思議な物語を聞かせてくれる、というお話です。


私普段からあまり海外作家の作品を読むことがないんです。ちゃんと読んだのは「変身」「その女アレックス」(この作品に関してはちょっとやらかして痛い目に遭ったのでそれはまあ機会があったらまた今度話します…。)そして「怪物はささやく」。それくらいですかね。

明確に苦手とかそういうことではないんですけど、やっぱり少し難しそうに感じてしまうんですよね。


でもこの作品は……海外とかそういうの全く関係なく楽しめました。楽しめましたってのも変かな。本当に大好きな作品の一つになりました。


多分児童文学に位置づけられていると思うんですが、「え!?児童文学でそんなことしていいの!?」みたいな描写かあって驚いた作品でもあります。あまり児童文学を読んだことがないので私基準ですけど…。先程言った「児童文学らしからぬ描写」というのは別にグロとかエロとかそういうことではなくて、人間のダークな部分とかそういう意味での残酷さっていうのがかなりストレートに表現されている、という意味です。

綺麗事にはしない感じ。それがすっごく新鮮で衝撃を受けました。


あらすじ紹介の部分はかなり端折っているので、これだけだと「なんか怪物との間に友情芽生える系のファンタジーなのかな??」みたいに思われるかもしれませんが、実は怪物はコナーに「自分が物語を語り合えたら、その後にお前が隠している《真実》を話せ。」と言っているんです。

一体コナーが隠している《真実》というのは何なのか、というのもこの作品の面白いポイントです。


さっき言った「綺麗事にはしない」というのはこれに関係してきます。コナーがひた隠しにしている《真実》が明かされた時は本当に辛かったです。それは是非読んで確かめてほしい!!


表紙絵だったり挿絵だったりが作品にマッチしていてとても素晴らしいです。悲しいけど、優しくて美しい物語。


読みやすい作品です。おすすめ!

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小説を読むことが好きです【ゆる~い読書録】 隣乃となり @mizunoyurei

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