迷宮の囚われ人
こいふら
序章 異世界へ
第1話 旅の始まり
田中誠は、どこにでもいる普通のサラリーマンだった。長時間のデスクワークに疲れ、いつものように会社の古びたエレベーターに乗り込んだ。ボタンを押し、ガタンと揺れる音と共に扉が閉まる。だが、その日だけは、何かが違った。
エレベーターが急に止まり、ライトがちらついた。そして、ふと扉が開くと、見たこともない場所が目の前に広がっていた。古びた黄ばんだ壁紙と、無限に続くかのような無機質な蛍光灯の光。どこを見ても同じような風景が広がり、すぐに誠はそれが「バックルーム」だと悟った。
「これは…夢か?」
何度も目を擦ってみても、光景は変わらない。恐怖が背筋を駆け巡り、誠は無意識に後ずさりした。しかし、エレベーターの扉はすでに消え、代わりに彼を囲むのは無限の迷路のような部屋ばかりだった。
誠は混乱しながらも、冷静さを保とうと努めた。「まずは出口を探さなければ…」と心に決め、慎重に足を進めた。だが、歩けども歩けども、景色は変わらない。どの角を曲がっても同じような部屋が現れる。無数の部屋の中で、時間の感覚は次第に曖昧になっていった。
背後に感じる微かな気配が、誠の不安をさらに煽る。足音が近づいてくる音が聞こえ、急いで別の通路に身を隠した。だが、その足音は、どんどん近づいてきた。逃げ場のない状況に、誠の心臓は激しく鼓動した。
「誰かいるのか?」誠は声を絞り出したが、返事はない。代わりに、影のような存在が視界の端をよぎった。
それはまるで、形を持たない黒い霧のようだった。無言のまま、ゆっくりと誠に近づいてくる。それを見た誠は、もう一度逃げ出そうとするが、足が震えて動かない。どうすることもできず、ただその場で立ちすくんでしまった。
しかし、誠は諦めるわけにはいかなかった。生還するためには、何が何でもこの場所から抜け出さなければならない。意を決し、再び歩き出すことにした。恐怖と戦いながら、どこかに出口があるはずだという希望を胸に。
だが、この終わりのない迷路が彼を飲み込み、出口が本当に存在するのかどうかは誰にも分からなかった。
誠の冒険はまだ始まったばかりです。このバックルームの世界には、彼が想像もできないような恐怖や謎が待ち受けています。次に何が起こるのか、誠は果たして脱出することができるのか、続きが気になりますね。
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