「業火」の大陸

クロルヘキシジン

業火の大陸

遠い昔の話、この大陸は業火の大陸と呼ばれた。

多くの国が覇権を争う,血に塗れた大陸だった。

数百年前から続く血で血を洗う一連の戦争は,我々が住める限界の地域まで戦火が広がった。

百数十年程前、多くの国が滅び、ついに愚かな人間達は戦争を止めた。

数十年ほど前,この大陸の中央にとある国家が出来た。

「大ゲルマン帝国」

ゲルマン民族と呼ばれる民族による連帯によって構成された。

衝撃であった。

瞬く間に民族的ナショナリズムが高騰し

フランドル、ルーシ、ネーデルラント、イベリア、果てはイタリア半島までそれは拡大した。

...が、不幸な国もあるもので、イタリア半島は統一の波に乗り遅れ、今や10勢力が跋扈している。

フィンランドと呼ばれる地域はルーシによって弾圧され、独立を諦めざるを得なかった。

今から丁度三十年前、大陸を震撼させる出来事が起きる。

当時帝国であったルーシの皇帝が、帝政から連邦制へ移行させたのだ。

「王は必要ない」

という思想が大陸全土へと波及した。

既にこの大陸は再び混沌へと向かっている。

誰が混沌の中で生き残るのか。

その時代の波乱の中で、我々は何度も自問自答しなければならなかった。「これから先、この大陸はどうなるのか?」と。


帝国の崩壊から連邦制への移行は、確かに多くの者にとって革命的な変化であり、希望の象徴となるかのように思われた。皇帝が廃され、王政が打破されるとともに、今までの支配層にとっては恐怖のような未来が予見されたのだ。しかし、この変化がもたらしたものは、混乱と分裂だった。


「王は必要ない」という新たな理念は、確かに多くの人々に自由と平等をもたらすことを約束したが、その代償は大きかった。制度が一新され、国家の構造が根本から変わる中で、数多くの勢力がそれぞれの利益のために争い始めた。帝国を支えていた強固な支配構造が失われ、数百年にわたる強権的な支配が崩壊すると、辺境の小国や都市国家たちは急速に独立の機会を狙って動き出した。


特に、イタリア半島はその後の混乱の最も象徴的な場所となった。ナショナリズムが未だ勢いを持ち、統一に乗り遅れたその土地は、今や10を超える勢力が跋扈する分裂状態となり、各勢力が覇権を巡って血を流し合っていた。ここではもはや理想的な統一など語られず、ただひたすらに力を求める戦争が続けられていた。


一方で、ネーデルラントやイベリア半島の諸国は、連邦制への移行を受け入れたことで、一定の安定を見せていた。彼らは新たな秩序の中で、自国の利益を確保しつつ、他の国々との関係を築くことに注力していた。だが、その背後では冷戦のような緊張状態が続き、いつ何時、再び戦争の火種が芽生えるか分からない状況だった。


そして、何よりも、ルーシの地域における変革が、最も衝撃的なものであった。かつては大帝国を築いていたルーシが連邦制に移行したことで、その支配力は急速に薄れ、周辺の民族や諸国は独立を目指して動き出した。フィンランド地域は特にその影響を受け、ルーシの圧政から逃れられなかったが、その後の混乱の中で再び独立を果たす道を模索している。


だが、何よりも深刻なのは、「王は必要ない」という思想がもたらした、各地での秩序の崩壊だ。大陸の中央に集まる強大な国々が次々と崩れ去り、再び戦争の時代が訪れる気配が濃厚になった。人々の心に宿る混沌への恐れと、未来への不安が広がっていた。


さて、ここから先、誰が生き残るのか。それは一部の覇権を握ろうとする力を持つ者たちか、それとも新たな思想を信じて秩序を築こうとする者たちか。大陸に広がる多くの力が一つの方向にまとまることなく、再び一触即発の状態が続くこととなる。


この時代において、最も重要なのは、ただ生き残ることだけではない。自らの思想と信念を貫き、いかにして混沌の中で新たな秩序を築くか、それが今後の鍵を握るのだ。


帝国の崩壊から連邦制への移行は、決して単なる一時的な変革ではなかった。それは、力を持つ者がその力をいかに振るうかにかかっていた。そして、力を持つ者たちの間で争いが続く限り、大陸の未来に明るい光を見出すことは難しいだろう。


誰が得をするというのか。

それは誰にも分からない.....

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