第7話「新たな挑戦」

翌朝、大輝は爽やかな気持ちで目を覚ました。カーテンを開けると、清々しい朝の光が部屋に差し込み、昨日の疲れを一掃するかのような気持ちよさを感じた。


窓から見える花園市の風景は、朝の空気に包まれて、どこか新たな希望を感じさせていた。


朝食を済ませた後、大輝は早速近くの公園へと向かうことにした。最近の忙しさと心の中の重荷を少しでも軽くするために、自然の中でリフレッシュするのが良いと感じたからだ。公園は彼の心を落ち着ける場所で、散歩をしながら考え事をするにはうってつけだった。


公園に着くと、緑が生い茂る中を歩きながら、心の中で奏音への思いを巡らせた。彼女の成功を願う気持ち、そして自分自身も努力し続けなければならないという決意が交錯していた。新しい曲作りに取り組むこと、そして自分の音楽の幅を広げるためにどうすべきかを考えながら歩いた。


公園の奥にある池の周りに差し掛かると、すでに何人かの人々がジョギングや散歩を楽しんでいた。大輝もまた、静かに歩きながら、池の水面に浮かぶカモたちを眺める。その姿に心が和み、少しずつリラックスしていく感覚があった。


しばらく歩いた後、大輝は池のほとりにあるベンチに座り込んだ。持参した音楽ノートを取り出し、これからの音楽に関するアイデアを書き留めていく。新しい曲の構想を練りながら、奏音の言葉が頭の中で響き続けていた。「また一緒に演奏できる日を楽しみにしている」とのメッセージが、彼にとっての励ましとなり、新たな創作意欲をかき立てていた。


その時、近くで小さなグループが軽やかな音楽を奏でているのが聞こえてきた。

大輝は、音楽に引き寄せられるようにベンチから立ち上がり、音楽の元へと歩み寄った。

そこで、地元のアマチュアバンドが練習をしている光景が広がっていた。彼らの楽しそうな演奏を見て、大輝は自分もまた音楽を楽しむ心を忘れてはいけないと感じた。

バンドのメンバーが彼に気づき、微笑みながら声をかけてきた。


「よかったら、一緒に演奏してみませんか?」


大輝は少し驚いたものの、すぐに笑顔で答えた。


「いいですね、ぜひ」


彼はギターを取り出し、バンドに加わることにした。


自然と一体感が生まれ、共に音楽を奏でることで心の中のもやもやが晴れていくようだった。


楽しい時間を過ごしながら、彼は音楽の力がいかに大きいかを再認識し、自分もまたその一部であることを実感した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る