第2章:音楽の約束

第11話「音楽への目覚め」

大輝は、奏音から届いた新曲のデモ音源を再生し、ギターを手に取り、そっとメロディーを口ずさんだ。

そのメロディーは、まるで彼の心を読んでいるかのように、幼少期の思い出を呼び覚ました。


奏音の透明感のある声が、彼の耳元で優しく囁くように響く。


彼は窓の外を見つめながら、幼い頃の奏音と過ごした日のことを思い出していた。花園市の小さな公園で、二人はよく一緒に遊んでいた。

まだ幼かった大輝と奏音は、音楽が何か特別なものだと気づき始めていた頃だった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「奏音ちゃん、その曲どこで覚えたの?」


大輝がある日、公園のブランコに座りながら奏音に尋ねた。


「えへへ、これは私が作ったの。ママがピアノで教えてくれたんだ」


奏音は照れくさそうに答えた。

その瞬間、大輝は奏音がただの友達ではなく、特別な存在であることを感じた。

彼女の作ったメロディーが、自分の心に深く響いていたからだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


大輝はギターを抱えたまま、ゆっくりと目を閉じた。

今、自分が奏音に追いつくためには、もっと努力が必要だということを痛感していた。

しかし、過去の約束が彼の心を支え、彼を前へと進ませる力となっていた。


「奏音、俺もあの日の約束を果たすために頑張るよ…」


大輝は小さく呟き、再びギターを弾き始めた。


彼の指が弦に触れるたびに、新たなメロディーが生まれ、彼の決意が一層強まっていった。

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