第一発見者

 急いで社員寮に戻ると、功刀の部屋のドアが開いていた。

 屈強そうなスーツの男が、俺を見て「角山商事の方ですね?」と尋ねた。


「そうです。牛込と申します」


「第一発見者の方ですね。助かります。中へ、どうぞ」


 俺はまた功刀の死体を見るのかと思って一瞬躊躇ったが、既に片付けられていた。


「わたしは能勢のせと申します。少々質問をさせてください」


「どうぞ」


「功刀さんはどんな方でしたか?」


「真面目で大人しい男でした」――いつも俯いて気持ち悪い奴だった。


「そうですか。恋人とかは?」


「俺は知りませんが」 ――あんなのにいるわけねえよ。


「自殺をほのめかしたことは?」


「いえ。聞いたことありません」――見た目は今にも自殺しそうだったけどな。


「では驚いたでしょうね」


「ほんとにビックリしました。あの、功刀はなんで死んだんですか?」


刑事は一瞬目を逸らした。


「溺死です」

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