アロイカ・インベージョン・パートIII

 ウイルスにより地球はアロイカの住めない星になってしまった。

 地球侵略は諦めるしかなかったが、多くの同胞を失った恨みが残った。アロイカ大統領も科学技術庁長官もウイルスに感染し、死んでしまった。

 新たに任命されたアロイカ総統は地球に復讐するのだと宣言した。

「一体、どうやって地球に復讐するのですか?」と側近に聞かれたアロイカ総統は「グランドンを使うのだ」と答えた。

「グランドン・・・」

 その名を聞いた側近たちは震えあがった。

 アロイカの間で、名前を聞いただけで赤子も泣き止むと言われるグランドンは荒廃の星ベルガに住む最強、最恐の怪獣だ。荒廃の星ベルガは異常気象が続き、大気が薄れ、水が干上がり、有毒ガスが惑星全体を覆い、生物が次々と絶滅している世紀末の星だ。その星で、生き残った生物を食らい続け、最後に生き残った怪獣がグランドンだ。

 アロイカから見ればグランドンは巨大な怪獣で、動くものは何でも食べてしまう。

「あの怪獣ならサイズ的に地球の生物と大差ないはずだ。あの獰猛で底なしの胃袋を持つ怪獣を地球に解き放てば、地球の生物を食らい尽くすまで暴れ回るはずだ」

 アロイカ総統の言葉に側近たちは頭を抱えた。

 一体、誰があの地獄のようなベルガに行って、あの恐ろしいグランドンを捕まえると言うのだ――と思ったに違いない。

 それでもアロイカ総統の命令だ。アロイカ軍はグランドンを捕獲する為に、超巨大戦艦を建造し、荒廃の星ベルガへ向かった。

 ベルガは地球と大きさが変わらない。だから、生物も地球サイズに育つ。アロイカは地球の二百分の一に過ぎない大きさだ。重力が違う。アロイカ軍はベルガの重力に苦戦しながら、グランドンの捕獲に全戦力を挙げて臨んだ。

 苦節一年、アロイカ軍は多くの犠牲を払いながらもグランドンの捕獲に成功する。

 超巨大戦艦内に捕獲したグランドンを鎖で繋いで幽閉し、麻酔をかけ、一路、アロイカを目指した。この成果をアロイカ総統に報告する為だ。鎖につながれたグランドンを見れば、アロイカ総統は、いや、アロイカ市民は皆、狂喜することだろう。

 そして、超巨大戦艦ごと、グランドンを地球に送り込めば、後は勝手に暴れてくれるに違いない。

 超巨大戦艦がアロイカに到着する。

 アロイカ総統とアロイカ市民は一目、グランドンを見ようと宇宙港に集まっていた。

 宇宙港で盛大なパレードが行われた。

「我々、偉大なるアロイカは、今まで恐れ畏怖してきたグランドンを捕獲することに成功した。これを機に、あの憎き地球に復讐をし、アロイカの栄光を取り戻すのだ~!」

 アロイカ総統が市民を前に演説した。

 いよいよグランドンのお目見えが始まる。

 超巨大戦艦の最後部が開き、鎖に繋がれたグランドンが姿を現した。


――おおおおお~!


 地鳴りのような歓声が大地を揺らした。

 すると、グランドンが目を覚ました。目の前に大量の食糧が並んでいる。グランドンは狂喜したことだろう。

 グランドンが暴れ出すと、超巨大戦艦はぽんぽんと飛び跳ねた。

 アロイカはベルガの二百分の一しかない。重力が違う。グランドンはベルガにいる時の数百倍の力を得たに等しかった。

 鎖を引きちぎり、超巨大戦艦から抜け出すと、グランドンは悲鳴を上げながら逃げ惑うアロイカ市民を手あたり次第、飲み込んで行った。

「だ、誰か。グランドンを止めろ。さもなくば、我々はグランドンに食べ尽くされてしまうぞ!」

 そうアロイカ総統が怒鳴った時、背後にグランドンが巨大な口を広げて迫って来ていた。

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