最凶鬼は嘘で君を愛したい。
ivy
第1話 銀色の神獣
泥水で濡れた体と血なまぐさい体はきっと世界中探しても僕が1番穢ならしいのだろう。
壁に背中を預けズルズルと重力に任せて座った。
裏路地の角に入ったのは不幸中の幸い…でもない。
追手はすぐそこまで来ている、立つ力も残っていない。
その時-
小さな体が僕を包み込んだ。
僕は目を丸く見開いた、降っていた雨に打たれなくなって小さな体からバクバクと早く動く心臓の音が聞こえてきた。
追手が近くにいなくなると同時に
少女は僕から離れて目が合った。
銀色の長い髪に赤い瞳…無表情だが人間離れした美しさがある少女だった。
よく見ると少女の肩は濡れていて、僕に目線を合わせると傘を差し出してきた。
「君のせいで転んで傘が壊れた…責任を取って受け取って」
僕の心臓も酷く暴れた。
土砂降りの雨が降る日僕は出会った。
ーーー
とある場所に役5000坪のもの大きさの土地に屋敷がある本家、
唐紅家とは稀に[神獣]が人の姿をして生まれる。
その姿は銀色の髪に赤い目をして人間の形をしており、その家に幸福を呼び、扱いを間違えると厄を呼ぶと言われている。
「私は唐紅家から出た覚えはない」
唐紅
「嘘をつくな!」
戌夜は怒りを隠すことなく怒りに任せて髪を掴み顔を上げさせ千影の頬を平手打ちした。
ーーパァンッパンッパァァンッーー
容赦ない行為は戌夜の部屋に大きな音が響き渡り3発もの平手打ち後手を止めて千影の顔を覗き込んだ。
「二度とするなと言え」
戌夜は眉間に皺を寄せながら低い声色で脅命令し伝えたが
千影はクスクスと挑発するように笑っていた。
「義兄様…お顔が醜くなってるよ?」
ーーパァァンッ!ーー
「神獣憑きだからといって特別扱いされると思うな!」
ーーパアンッ!ーー
「結界をどうやって抜けた!」
ーーパァァンッ!ーー
「貴様は唐紅家に厄を呼びたいのか!」
「ッ!…」
唐紅家から出るわけない
あの日義兄様に連れ戻された時…3日3
私が神憑きで幸福を呼び寄せるのなら…なぜ私に幸が無いのか
義兄様が何か言ってる…もう何も考えられない…
千影が気絶をしたところでやっと戌夜は振りかざした手を降ろし、髪を掴んでいた手を離すと指の間から銀色の長い髪が数本ひらりと落ち、悲観的な表情を浮かべ強く抱きしめた。
千景の口元から流れる血を親指で拭い赤く腫れ上がった頬に手を伸ばし優しく撫でた。
「すまない…千景…本当にすまない」
千影の銀色の長い髪を何度も何度も繰り返し撫で続けた。
「千影…」
抱き上げつつ立ち上がるとキスを落とそうと口を近付けた。ハッと我に返り顔を片手で隠した。
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