第7話貴族達の対応
どうしよう。
婚約解消するのは別に構わない。
ただ……。
これからどうしたら……。
溜息が止まらない。
同年代で婚約者を探すのは難しい。
この年齢になれば大体が売却済み。
もちろん、全員がそうというわけではない。
ただ、そうでない場合は、病弱であったり、何かしら問題がある訳ありが殆どだ。
例外は婿入り希望だろうか。
私は嫁入り希望者。婿入りではない。さて、どうする?
後妻……は、両親と兄達が反対するから却下。
残るは年下。まだ、幼い婚約者を探すことになる。
一応、調べておこう。
結果は、まあ……。
「予想通りというか、何というか」
一番年が近いのでも十歳下。
年下なら、と思ったものの、軒並み婚約者がいた。
「困ったわ……」
予想はしていた。
けれどまさかここまで誰もいないなんて……。
独り言のように愚痴をこぼしていたら、メイドの一人が「お嬢様、少しよろしいですか?」と声を掛けてきた。
「どうしたのかしら?」
「はい、お嬢様のお悩みの原因についてなのですが」
「え?何か知っているのかしら?」
「はい。最近の高位貴族の結婚ラッシュと幼少期からの婚約は、ブラッドフォード公爵子息様の婚姻式とお嬢様の王命の婚約に影響された節がございます」
「……つまり?」
「はい。王命によって無理矢理婚約をさせられて我が子が不幸にならないために早くから各家で婚約を正式に結ぶことが多くなっているのです。幼少の王女殿下もいらっしゃいますので……」
なるほど。
要は、ローレンスの二の舞にならないようにしていると。
ついでに私のことも引き合いに出されているのね。
納得だわ。
だって、ローレンスの場合は王女殿下に一目惚れされての婚約。
ローレンスが断り続けて業を煮やした王女殿下が国王陛下に頼み込んで王命で結ばれた婚約。
なのに結果は王女殿下の駆け落ちで幕を閉じた。
それも婚礼式の日に。
複数の男と。
私にしたってそうだ。
王命の婚約で相手は浮気で婚約解消も間近。
これじゃあ、貴族達が王家を警戒しても仕方がない。
各家が急ぐ訳だわ。
王家の横やりが入る前に、と。
「……この国で結婚相手を探すのは無理そうね」
溜息と独り言が零れる。
この不要な一言にメイドが顔色を悪くしたことを私は知らない。
ほんの一瞬、表情が翳ったていどで、次の瞬間にはいつも通りの無表情に戻っていた。
「いっそのこと遠方の方がゴタゴタに巻き込まれないかも……?」
ボソリと呟いた一言にメイドの眉がピクリと反応していたことも私は知らなかった。
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