第5話:いざ平安へ。

「で、その屍鬼麻呂しきまろってやつを捜す手がかりってあるの?」


「私は屍鬼麻呂の痕跡を確かめるためこの井戸を調べていたのです」

「井戸をで入りしてるなら屍鬼麻呂の残像が残ってますからね」

「その残像を辿っていったら大学を出たところから消えていました」


「は〜大学の外にいるってことか・・・」


「ふたりで同じとこ調べててもな〜」

「俺にできることってないかな〜」

「あのさ、その屍鬼麻呂の顔写真とかないの?」

「ああ、平安時代にカメラなんかないか・・・・じゃ〜似顔絵か?」


「吹雪ちゃん、屍鬼麻呂の似顔絵描ける?」


「私、絵描くのド下手です」

「そうか・・・・そうだ美術部の岸本 良生きしもと りょうせいに似顔絵

描いてもらおう」


「吹雪ちゃん、俺と一緒に来て、岸本に屍鬼麻呂の顔の特徴話してよ」


って訳で、岸本に屍鬼麻呂の似顔絵を描いてもらった。


「どう?似てる・・・やつに・・・」


「似てない・・・似てるのは髭面だけですけど」


「え〜意味ないじゃん・・・」

「でもまあ、何もないよりマシだよ」

「吹雪ちゃんはこのまま屍鬼麻呂の痕跡探って、俺がこの似顔絵持って

大学の外に聞き込みに回ってくるから・・・」


「はい、ではよろしくお願いします・・・充分気をつけてくださいね、生田様」


「任せといて・・・とっとと屍鬼麻呂とっ捕まえてエッチしよう」


「ダメです」


ってことで俺は大学を出て、近所あたりに屍鬼麻呂を見たことある人を

探して回った。

3時間ほど街中を徘徊して、なんの手がかりもなく夕方大学に帰って来た。


「そうでしたか?」


「今のところ手がかりなし」


「吹雪ちゃんのほうはどう?」

「大学の外に向かってる残像以外に井戸の周りに入り乱れてるので」

「これって断定できません」


「こまったな・・・このままじゃ吹雪ちゃんとエッチできないじゃん」


「まだ言ってるんですか?」


「諦めないよ、俺は」


「しつこいと嫌われますよ」


「エッチさせてくれるなら、黙ってるけど・・・」


「じゃ〜屍鬼麻呂捕まえることができたらハグだけ許します」


「おう〜一歩前進・・・次はチューだな」


「前向きな人ですね」


「未来に希望を抱えてるだけ・・・」


「まあ、いいです・・・その時が来たら、その時考えます」


「でも、手がかりないってのは残念ですね」


そして次の日だった、例の古井戸から、ひとりの男がこの時代に

やって来た。

その男は迷わず吹雪ちゃんのところにやって来た。


「あら、黒翔こくしょう・・・どうしたの?」


黒翔とは、伝言・偵察・届け物などを任せられた安倍晴明が操る式神。

吹雪とかまた異なる式神のひとり。


「吹雪様・・・京にお帰りください」

「屍鬼麻呂が京の都に戻ってきております」

「やつは晴明様に恨みを持っていますからきっと晴明様のお屋敷に

現れるはず・・・屍鬼麻呂が来る前に私たちで待ち受けましょう」


「分かりました」


「そう言うことなので生田様、私は平安に帰ります」


「俺も行く・・・」


「それは・・・どうなんでしょう?現代人で平安時代に行った人

いないと思うんですけど・・・なにがあるか分かりませんよ」


「なに言ってんの・・・俺の彼女を放ってなんかおけないだろ?」


「まだ生田様の彼女になってませんけど・・・それは屍鬼麻呂を捕まえて

からって言ったじゃないですか?」


「そうだっけ・・・でももう俺と吹雪ちゃんは一心同体だから」


「まあ・・・どこまでも自己中な人ですね」


「さ、行こうぜ、吹雪ちゃん平安へ!!」


つづく。


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