アイス

紫閻-sien-

「ただいま~ 帰ってきて早速だけど冷たいものある?」

男は帰ってくるなり冷蔵庫に一目散に向かう


「おかえり 冷凍庫にアイスあるよ」


キッチンにいた彼女は料理の手を止め冷凍庫を開けアイスを取り出す


「ありがとう あぁ このアイス」


彼女が差し出したアイスを宝物を見つけたかのようなキラキラした顔で見る男嬉しそうにアイスを受け取り食卓に座る


「それがね、不思議なことがあって」


スプーンを持ってきた彼女が話を切り出した


「ありがとう 不思議な事?」


「今日も暑いから、アイスを買おうとしたの

そしたら いつの間にか知らないおばあさんが横にいて話しかけてきたの」


「おばあさん?」 アイスを頬張りながら聞く男


「うん そのおばあさんが うちの孫のマサヤがこのアイスが大好きで

マサヤの小さい時 夏になると いつもスーパーでねだられてただって」


「マサヤって 俺と一緒の名前じゃん

しかも このアイス小さい時よく食べてたし」


「しかも、なぜかいつの間にか、おばあさんいなくなってて怖かったけど

おばあさんのお孫さんが あなたと同じ名前なのが

なんか不思議な気持ちになって なぜかこのアイス買ってきちゃったの」


「もしかして、おばあさんってこんな感じの人だった?」


財布の中から写真を取り出し、彼女に見せる男


その写真は小さな男の子とおばあさんの二人が並んで写ってる写真


彼女はその写真を見て驚いたように、こう言った


「そうそう この人だった」


「これ 俺のおばあちゃんで 中学生の時 亡くなったんだ」


思い出して、少し涙ぐむ男

写真を手に取り無言で写真を見つめる彼女の目にも涙が


「明日からお盆休みだし おばあちゃんの墓参りに行こうと思うんだ

君を紹介したいから ついてきてくれるよね」


泣いている彼女の涙を拭いながら優しく手を握りそういう男


「もちろん」 泣きながら彼女は答えた

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アイス 紫閻-sien- @sien702

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