第33話 前世で武神と呼ばれた男、オーガ達と遭遇する①
俺達、冒険者は森の茂みを歩いていたが前方を歩いてたファウスのパーティが足を止めたので後方にいる冒険者も歩みを止めた。
今、俺達はファウスのパーティ、ブランカのパーティ、ヒルダのパーティ、俺のパーティ、二人組のパーティ、一人組のパーティの順で歩いていた。
「どうしたんですの?」
ヒルダが前の様子を窺う。彼女に対してファウスが応じる。
「オーガだ……! 二体いる……!」
ファウスは声を押さえていた。彼の言葉に他の冒険者たちは茂みに身を隠すためにしゃがみながら移動する。
「話には聞いていたけどオーガ達が二人一緒で行動するなんて不自然だわ……オーガの習性としてはありえないもの、何か作為的なものを感じるわ」
ブランカは移動しながら考え事を口にしていた。
その言葉を聞いたソリスは俺に小声で話しかける。
「ヒュー君はオーガ達の異常な行動についてどう思いますか?」
「そうだな……」
俺は顎に手を当てて、いかにも考えてる感を出した。
全く! 皆目見当がつかない!
「親がそういう育て方したんじゃない? それか学校とかで集団行動を重んじられていたとか?」
「オーガに学校なんてあるんですね~」
ソリスは不思議そうにしていた。
つい口走ったがオーガの学校なんてあるのだろうか。
「オーガの学校なんかあるわけないだろ」
「そもそもオーガは学校で何を習うんです?」
「ヒューゴ君、それはやっぱないかな」
俺の自論はハッカ、シェナ、ソリスに否定されてしまった。
気付くと俺達は茂み越しに川の中を歩き、オーガ達を視認していた。もちろん、俺は周囲のエネルギーからオーガ達の位置を捕捉していた。
「まあ俺様達四人で十分だ!」
ファウスが意気込むと、
「油断、禁物……あのオーガ普通と違う」
今まで喋らなかった刀を持った冒険者が喋った。
「おっさん、それぐらい俺様も気付いてる。確かにあのオーガは普通のオーガより異様に筋肉が膨れているし、背筋がやたらと良い! だが俺様達四人なら倒せるよな!」
と、ファウスは仲間のドワーフ、エルフ、金髪の女性に向かって言い放つ。それに応じるように彼の仲間達は頷く。
「行くぞ!」
ファウスは駆け出す。他の三人もそれに続く。
「『
金髪の女性が何か唱えると、ファウス、ドワーフ、エルフの体が青く光る。彼らの戦闘能力が上がったのが分かる。
「「ウガァァァ!」」
二体のオーガ達は叫ぶ。
人より遙かに身長が高い、へロルフの話しによると個体差があるようで身長は三メートルから四メートルらしい。緑の肌に丸太のように太い両手両足の筋肉。戦えない人間からすれば脅威の存在だろう。
「はっ!」
エルフは弓矢を放つと風を鋭く裂く音を立ててオーガの額を射抜こうとするが、
「刺さらない!?」
エルフは驚嘆していた。額に矢が刺さったかと思えば弾けるように矢が地面に落ちた。
「こいつら普通じゃないわい!」
ドワーフは慌てるように叫ぶ。
もう一体のオーガはドワーフの振るう斧とファウスの振るう剣を腕で弾いていた。腕に刃物が直撃しているのに傷が付かない……違うな、厳密には傷付いている。だが尋常じゃない速度で肉体が再生しているのだ。
確かに普通の魔物じゃないみたいだ。
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