第3話
次の日、俺はまた先生に質問するために早めに教室に向かった。
月と地球の話を聞いた後、先生との会話が楽しくなってきた。今日は、太陽と火星について聞いてみようと思っていた。
「先生」と俺は声をかける。
先生は笑顔で振り返り
「どうしましたか、正彦くん?」
といつもの優しい声で応えてくれた。
俺は少し緊張しながら、でも興味津々で質問を切り出した。
「今日は、太陽と火星について教えて欲しいんです。太陽は燃え盛る炎みたいな星だけど、火星も『火』って名前がついているのはどうしてなんですか?」
先生はその質問に少し考える素振りを見せた後、にっこりと笑って説明を始めた。
「とても面白い質問ですね、正彦くん。まず、太陽についてですが、太陽は巨大なガス球で、主に水素とヘリウムでできています。内部で核融合反応が起こっていて、それが莫大なエネルギーを放出し、私たちに光と熱を届けているんです。だから、太陽が『燃えている』ように見えるんですね。」
俺は頷きながら聞いていたが、次に火星のことが気になった。
「じゃあ、火星はどうして『火』って名前がついてるんですか?」
先生は教卓に置かれた星座図を指しながら、話を続けた。
「火星という名前の由来は、古代からの人々の観察によるものです。火星は空に赤く輝いて見える星です。その赤い色が炎を連想させるため、古代ローマ人は火星を戦いの神である『マルス(Mars)』にちなんで名付けました。『火』という漢字も、同じように赤い色から連想されてつけられたのです。」
「なるほど、火星が赤いから火の名前がついたんですね。」
俺はその説明に納得しながらも、さらに興味が湧いてきた。
「でも、なんで火星は赤いんですか?」
先生は星座図を指差しながら説明を続けた。
「火星の赤い色は、表面に広がる酸化鉄、つまり錆びた鉄によるものなんです。火星の大気や土壌には鉄分が豊富に含まれていて、それが酸化して赤く見えるんですよ。だから、地球とは違う色の世界が広がっているんです。」
「酸化鉄…錆びた星なんですね。」
俺はその言葉に少し驚いた。
「火星も、太陽とはまた違った意味で、特別な星なんですね。」
先生は優しくうなずいた。
「そうですね、火星もまた、私たちにとって興味深い星です。そして、その赤い輝きが、古代から現代に至るまで多くの人々を魅了してきたのです。」
俺はその話に胸が高鳴った。宇宙にはまだまだ知らないことがたくさんある。次はどんな質問をしようか、考えるだけでワクワクしてきた。
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