【エッセイ】大地震が起きてもそれはあなたのせいじゃない

天城らん

第1話 大地震が起きてもそれはあなたのせいじゃない。



 2024/8/8 宮崎県で震度6弱の地震が発生しました。


 それに伴い、南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」というものが、気象庁より発表されました。

 宮崎県なのに、南海トラフが関係あるの? 南海トラフって四国や東海地域のことじゃないの?? と素人の私は思ってしまうのですが、宮崎から静岡あたりまで伸びる海底プレート帯の名称だそうで、調査の結果関連性があるとか。


 南海トラフという名は、予告された大地震という感じで、だいぶ耳に慣れてきましたが、トラフって何のことか分からない方も多いと思います。

 私も分からなかったので、辞書で調べたところ、海溝(トレンチ)ほど深くない、海底の細長い凹地のことだそうです。要するに、緩やかなプレート境界の海底地形のことのようです。


 南海トラフ大地震と今回の巨大地震注意の発表については、気象庁のHPをご参照ください。

 https://www.jma.go.jp/jma/press/2408/08e/202408081945.html


  *


 それで、なぜ突然、東北に住んでいる私が南海トラフのことについて書こうと思ったのか。


 それは「巨大地震注意」という注意情報が発表されたからです。

「注意情報」あまり耳慣れない言葉です。

(一段階上の巨大地震『警戒』というのもあるそうです)


 よく聞く「注意報」と「警報」とどう違うのか? 私は気象に詳しいわけではないのでよくわからないのですが「注意報」「警報」は、災害が起こるおそれのあるときに警戒を呼びかけて行う予報だそうです。

 これは、気象のデータ数値を元にして、基準に達すると予想した区域に対して発表しているとのこと。

(「注意報」は、対象となる気象情報が16種類と決まっているようです。大雨、洪水、大雪、強風、風雪、波浪、高潮、濃霧、雷、乾燥、なだれ、着氷、着雪、融雪、霜、低温)

 

 雨量や積雪量のデータから高い精度で危険が予測できますが、大地震が起きるかどうかは、数値だけでは精度としては難しいところなので「情報」ということなのかも知れません。(もう少し詳しく調べておきます)


 *


 ――― では、本当に南海トラフ大地震が一週間程度で起きるのか?


 というと、それはあくまでも宮崎県の震度6の大地震のデータから見て、南海トラフが今までよりも動く可能性が高まったということ。


 いつ起こるか? 絶対に起こるか? というと、それは誰にもわからないことです。


 しかし、なにも知らないままに大地震に遭遇するのと、起きる可能性を知っているのとではだいぶ違います。


 個人なら非常食や懐中電灯をそろえたり、家具の耐震に突っ張り棒を入れたりなど、今までは他人事のように思っていた人も本気で対策するでしょう。

 また、実際地震が起きたときに身を隠したり、体を守る姿勢を取る心構えもできます。


 国や自治体なら、避難所開設や政府への報告エスカレーション流れフローを確認しておくことで実際に地震が起きたときにスムーズに対応できます。



 ただ、地震が起こらない場合もある。



 それに越したことはないので、その場合は空振りだったと誰かを責めることはしないで欲しいなと思います。


 私は、3.11の東日本大震災を含めて震度6の地震を3回経験していますが、知っていたら助かる命もあったろうなと思うと、空振りでも『巨大地震注意』情報は知っておきたい有益な情報です。


   *


 これを読んでいる方も小説を書く人が多いと思います。


 私も含めて、書く方は想像力が豊かな方が多いでしょう。


 大地震が1週間以内に起きるかもしれない……と告げられたら、過去の震災や記憶に新しい能登地震や様々な情報を自分や家族に身に降りかかるのではと想像して、不安になってしまうと思います。


 私自身がそうなのですが、まだ起こりもしないことを色々想像し心配してしんどくなってしまうタイプです。

 この一週間がひどく長く感じる方が物書きさんには多いだろうと思って、この文章を書くことにしました。



 上手いことは言えませんが、一番言いたいことは「もし大地震が起きても、それはあなたの日ごろの行いのせいではない」と言うことです。



 大地震や災害が起こると、何か自分自身が悪いことをしていたからじゃないか? と我が身を振り返ってしまう方が多いのですが、絶対そんなことはありません。


 大地震、台風等の自然災害は地球が起こしているのであって、天罰ではありません。

(そういうことを言ってくる人がいたら、危ない人なので全力で逃げて下さい)


 急な不幸や病気に見舞われたとき、人間はなぜかその原因を探そうとします。

 そして、なんの落ち度もない自分の過去の些細な失敗や行いを思い出し対して、それに対するバチではないかと自分を責めてしまいがちです。

 

 どうか、つらい時にさらにつらくなってしまわないように、災害や病気の原因も責任もあなたの中にはないと言うことを心の片隅に置いてください。


   * 


 今この瞬間にも大地震が来るのではと、不安に思い眠れない人もいるかと思います。


 そんな時は、ある程度の地震への備え(耐震補強や非常食の確保)をしたら『なるようにしかならないし、大地震が起きるのは自分のせいじゃない』と開き直って寝て下さい。


 災害時に色々な備えを言われますが、最大の備えは「体力」なのです。


 交通機関が止まったり、エレベーターが止まったりすると自分の足が頼りです。

(私も、会社やマンションのエレベーターが長く停止し、昇り降りが大変でした)


 今から急に体を鍛えるのは無理ですが、しっかり睡眠をとって食事を3食しっかりとるという当たり前のことが、実は有事への一番の備えだったりします。


 栄養と睡眠をとって、体力を温存することでぜひメンタルを維持してくださいね。


 *


 もし、南海トラフ地震が起きた場合。

 私は東北でも盆地に住む山の民なので、津波への対策や経験はないので、その辺に関しては何も言えないのですが、それ以外のことに関して言うなら、震度6を3回経験しても、なんとか私は生きてるということです。


 東日本大震災は100年に一度の大地震と言われていました。


 まさか、その後にまた10年もしないで震度6を2回も食らうとは夢にも思わないですよね。


『100年に一度って話はどこに行ったんだ!? 』と、へこむどころか温和な私も3回目はキレ気味になるほどです。


 私の場合、幸いなことにマンション暮らしで建物の被害はほとんどなく、身内も無事でした。

 こまったことは、水が10日間出なかったり、エレベーターが止まったり、放射能が……と不安を煽られたりしたくらいです。

 なので、沿岸部や能登で津波被災した方とは比べ物にはならないのですが、震度だけで言えばかなりの場数を経験しています。


 しかもマンションの上層階なので、揺れはかなりのものです。


 この文章を読んでいる方の中にも、巨大地震が来たら……と強い不安を感じ、眠れない日々過ごしている方もいるでしょう。



 その時は『あのらんさんも、震度6を3回食らってもなんとかなってるんだから、自分も何とかなるだろう』と、私のことを思い出してください。



 そしたら、ちょっとは安心して寝れるのではないでしょうか?



 本棚がひっくり返っても元に戻せばいい。


 エレベーターが止まっても階段を使えばいい。


 水が止まったら、給水車がちゃんと届けてくれる。


 電気が止まったら、懐中電灯がある。


 テレビが見れなくても、ラジオがある。


 ガスが止まっても、カセットコンロがある。


 煮炊きできなくても、アルファ米やシリアルがある。




 夜が終われば、朝が来る。




 今、大地震が来るかもと不安に思っている人は、起きても何とかなるし、何とかならなくても自分のせいじゃないと開き直って、緊張の糸をほぐしてください。


 しっかり食べること、しっかり寝ること、心配しすぎないことが巨大地震への最大の備えです。




* * *


 続き書けそうなら、次回は地震へ対策や地震が起きた後の行動について書いてみたいと思います。


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