マスクに浮いたファンデーション

深夜

skin care

人生で一度、してみたかったこと。

だから後悔はしていない。

初めてリップを唇に纏わせたあの夏休み。

じっとりと僅かに手汗を纏わせていて、それでいて手は震えていた。

動画で何回も見たし、頭の中で何回も練習した。

息を忘れた空間には何の音も響かない。

リップの蓋を固く閉じる。

鏡の前のあたしは、やっぱり至って平凡なあたしのままだった。

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