第48話 放課後の2人 その2


「ちょっとそこの取ってくれない?」


「ん?あぁ。」


都治巳杏里が、俺の近くに置いてあったお菓子を取れ、と命令してくる為、仕方なく俺はそのお菓子を手に取って、彼女の方へと机の上を滑らせて渡す。


「ありがとう。」


「ん?お、おぅ。」


コイツ...ありがとうなんて言葉言えたのか...。

そんなことを1人ぼんやりと考えながらスマホを触る。

特に見るものもなく、適当に開いたSa-guruという便利アプリ。

そのトップには、大人気女優が浮気?!や大人気ボーカルが薬物?!など、様々な情報が行き交っていた。


俺は特にそういう事に興味がない為、その記事を適当に下にスクロールしていくと、今日の第10位の記事、という所に目が留まる。


その記事の内容は、とあるご当地キャラ〇〇ちゃんの中身が高校生だった、というものだった。

どうやら、とあるQtuberが生配信をしていた所にその着ぐるみを脱ぐ、制服を着た高校生が映り込んでしまっていたらしい。



その高校生、災難だったなぁー。程度の興味心で、その配信を見に行ってみると、確かに制服を着た女子高生が映り込んでいた。


普通の人なら、笑って通り越してしまう事故だが、俺はこの高校生の事が気になってしょうがなかった。


だって、なんかこのシルエット見た事あるんだもん。

何なら、この高校の制服だし。

何なら、その容疑者、目の前にいるし。


「あ、あのさ!」


「ん?何?」


「お前...Sa-guru、入れてる?」


「え?誰でも入れてるでしょ?」


「そ、そうだよな。」


まぁ、最初からスマホに入ってるしな?


「で、それが何よ?」


「いやぁー、ちょっとさ、そのSa-guruのトップ10の記事んとこ見てほしいんだけどさ?」


「...開いたけど?」


「それの10位、見て?」


「...10位?何なの?その興味あるかないかの瀬戸際の記事なんて見せて...え?何、これ?」


この反応...一瞬でその記事を見て焦り出すこの反応は...間違いない。


〇〇ちゃんの中身は、コイツだ。


「これって、やっぱり...。」


「いやいやいや!違うから!!私じゃないから!!いやちゃいますって!!」


いや、なんか変な訛り出ちゃってるけど?

てか、まだ何も、聞いてないんですけど?


まぁ、この反応はコイツで確定だな。

別にウチの高校は、バイトは認めているし、校則違反ではないため、そんな大事ではないがコイツ自身にとっては、焦り様からも大事なのだろう。


「あ、あぁ。」


「え?何で映ってんのよ!!これ肖像権?著作権?的にヤバいんじゃないの?!訴えてやるわよ?この配信者!!」


「いやいや、待て待て。ほら、別に顔とかそんな綺麗に映ってないし、遠目でボヤけてるから特定される事はないって!」


「でも、頼水君でも分かったのよね?じゃあ、誰でも分かっちゃうんじゃないの?これ!!」


「いや、ほら、俺はいつも見てるからな?わかるんだよ?」


「え?」


「ん?」


何だ、その反応は?!

何赤くなってんだ、この女?!


え?俺今なんて言った?

恥ずかしい事、ついうっかり言っちゃった?!


「き、キモいから!」


「え、あ、はい。すみません。」


...帰りたい。

キモいなんて、女子から言われちゃったら、立ち直れませんよ、この僕ちゃんは...!!


うん。

今日は早く帰ろう。


1人でブツブツと呪いの様に、何かを唱える都治巳杏里を目の前に、ただただ、そう思った。

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どうやら俺は、ヒロイン達に嫌われている様なので傍観位置を貫きたいと思います。【フォロワー1000人感謝!!】 蜂乃巣 @Hatinosu3268

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