闇と私の物語

怠惰

転生

第1話 目が覚めたら幼女だった

長い夢を見ていた気がする。


海の近くに住んでいて、裏は山。

近くに店は無くて、遊び相手は自然と、数少ない友達。

都会の大学に進学して、地元に就職して帰ってきた。

帰ってきたのに自分の居場所は他にある、そんな感覚が消えないまま。


そして、背中に衝撃を感じて目が覚めた。



「ん……」

明るい。朝だ。朝が来たんだから起きる。当然だ。


「あれ……」

ここはどこだ。いやここは自分の家だ。横にはベッドのような木製の台。背中には硬い床の感覚。でも、どこだここ。こんなログハウスに住んでいなかったはずだ。いや住んでたか。いやいや、ここはどこだ。


混乱の極み。

正解なのに不正解。知らないけど知ってる。今までどおりなのに昨日とは違う。


落ち着け……。自分は誰でここはどこなのか。


思い出そうとしても、2人分の人生…いや、1.3人分くらいの記憶がパッチワークみたいにランダム再生されていく。


数年前までの俺は日野見 祐理(ひのみ ゆうり)で、ここ最近の私はユーリ(と、呼ばれていたはず)

奇しくも名前は同じような音だが、……そう、『俺』から『私』なのだ。正確には『あーち』だが。


どうやらこのパッチワークのようになった記憶を綺麗に並べ替えたところ……



「いしぇかいてんしぇい……」

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