幼馴染(男)と幼馴染(男)が多分おそらく絶対付き合ってる…

@kashiwa622

第1話

 今日こそは、今日こそは奇跡がおきてくれないだろうか。

 無理だろうなと諦めかける心を押し殺して扉を開ける。そう、何事も諦めないことが肝心。信じる者は救われるのだ。さあ来い!私の輝かしい一日!!

「あ、おはよう。美琴。」

「遅えよ、朝練ギリギリじゃねえか。」


 …神は今日も私を見捨てたようだ。



「ねえ、あれ見て!」

「うわ!望月先輩だ!」

「西園寺先輩と森脇先輩もいる!」

「いいな〜私もあんなイケメン二人に囲まれて登校した〜い!」

「いやいや、あれは西園寺先輩くらい美人だから成り立ってるのであってあんたじゃ無理でしょ。」

「ひどくない!?でもその通りだよね〜」

 …はい、どうも。たった今、美少女の称号をいただきました西園寺美琴です。そこのあなた、もし私と入れ替わってくれるというのなら是非お願いしたい。確かにこいつらは世間一般で言うところのイケメンだし、玲は成績優秀な生徒会長、要くんはバスケ部のエース、全校生徒の憧れの的でしょう。でも…

「西園寺、やっぱりどっちかと付き合ってるのかなあ。」

「どうだろ、でもいっつも三人一緒だしな。」

「西園寺が誰と付き合ってるかってみんな噂してるよな。ちな、俺は望月に賭けてる。生徒会で一緒だし。」

「俺は森脇だな。バスケ部の朝練しょっちゅう付き合ってるんだぜ?幼馴染ってだけでそこまでしないだろ。」

 そこで話してる隣のクラスの男子AとB。聞こえてますからね?そんな馬鹿らしい賭けが行われているとは初耳だ。今度どうにかして摘発しよう。ああでも、放っておいても別にいいかな。そいつらが大負けするだけだし。なんなら私が参加してもいい。大勝ちする自信がある。

「じゃあ僕は生徒会室行くけど、2人はそのまま体育館?」

「あ、私生徒会室に備品管理の書類取り行こうかな。要くんの自主練ついでにチェックするわ。」

「ああ、それなら昨日僕と要でやっておいたから大丈夫。ね、要?」

 玲が目を細めて、要くんの頰を撫でる。

「っ!ああ!そう、だから大丈夫…」

 要くんは顔を赤らめて、その手を振り払った。パシ、と乾いた音がしたが玲は楽しそうに笑っている。

 ああ、なるほど。昨日早々に生徒会室から消えたと思ったらそのまま帰ってこなかったのはそういうことか。

「あ、そうなんだ!ありがとう!」

「いえいえ、じゃあまた教室で。」

 校内に消えていく玲をじっと見て動かない要くんの横で遠くに思いを馳せる。

 男子A、Bよ。いや、賭けに参加している全生徒よ。その勝負の勝ち馬は『望月×西園寺』でも『森脇×西園寺』でもない。


 『望月×森脇』なんだよ!!!!!!


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