魔法師リリは騎士団長に溺愛されています
色咲鈴子(しきさき・りんこ)
第1話 恋のあら熱
魔法師という職業が、この広い世界フェイズマリアでは存在する。
長い長い勉強期間を経て、卒業したリリ=エンジェリックはようやく魔法師になれたばかりだった。
魔法師の仕事は、各々がそれぞれ担当する町を魔法で支えることである。メインは健康に関する聞き取り調査、食事面のサポートなど、多岐にわたる。
ベテラン魔法師だと特別な魔法料理が作れたりする。
1つの町に2人の魔法師がつくことが定められている。
今日も魔法協会では2人の魔法師が仕事をしていた。
「リリ、騎士団長がお呼びよ。すぐ来いって」
リリと呼ばれた銀髪を三つ編みにしている女性魔法師が、電話を一旦保留にした。
「この電話終わったらすぐ行くわ」
リリと呼ばれた、銀髪を三つ編みにしている女性魔法師は電話を終えるとすぐに外出の準備をし、騎士団長の自宅へ向かった。
「また風邪をひかれたのですか、騎士団長様?」
「君に会いたくて嘘をついた。本当は元気だ。どこも悪くない」
水色の長い髪を後ろで結んでいる騎士団長セオ=ドールは苦笑いした。
「そうですか。では、私はこれにて失礼……」
「あぁ、待ってくれ。まだ帰らないでくれ。一緒にお茶を飲まないか?」
「今日は他の方と面談を控えておりますのでこれにて失礼させて……ん?!」
セオは強引にリリを抱きとめてキスをした。
「リリ=エンジェリックは俺のこと好きじゃないのか?」
「私は仕事で来ているので。これにて失礼します」
セオがリリから離れるとすぐに彼女は移動魔法を使って魔法師センターに戻った。
席に着くとアイリスは居なかった。
午後の面談を終えたリリは、まっすぐ自宅に帰らず、セオの家へ向かう。
「仕事帰りに寄りました。お元気そうなら何よりです」
またセオに抱きしめられた。
「本当はこんなことをしては魔法師失格失格なとこですが、私も騎士団長様にお会いしたく参りました」
セオは嬉しそうな表情をしてみせた。
「今日から俺と2人きりのプライベート中はセオと呼んでくれ。さぁ、あがって」
「わかりました、セオ様。それでは私のことはリリとお呼びください。お邪魔します」
リリがセオの自宅から帰る頃には花時計は午後6時を過ぎていた。
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