第27話 講習会②
「次はそれぞれの倒し方。とりあえず『突撃種』から行くか。こいつは攻撃力、防御力、速さ、どれも高水準。個体数も他2種よりも圧倒的に多い。最も人類を殺してる食人巨蟲だ。性能を人類換算で表すとこんな感じだ」
突撃種が描かれた羊皮紙の隅の方を指さすバオブーン。
そこには『S:110』『V:70』『A:65』という暗号のような文字が書かれていた。
「SがSTR(筋力)VはVIT(耐久)AはAGI(敏捷)だ。ちなみに食人巨蟲のVIT(耐久)は物理・魔法兼用だからな、間違えんなよ。学者先生によると、こいつらが人類の数十倍、数百倍いやがるって話だ。いかにヤべぇか……てめぇらみたいなバカでも分かるよな?」
場は緊張に包まれていた。
(ここにいる皆がどのレベルの能力値で挑んできてるか分からないけど、この雰囲気……)
「まぁこんな高い能力値の突撃種だが、基本は噛みつきと腹部の針による突き刺しがメインの完全近距離タイプだ。てめぇらヒヨッコは、複数人で囲んで正面で囮、サイドからヒット&アウェイ。これに尽きる。後ろは止めとけ。ランダムに振り回される針にやられる危険性がある。ついでに言うとこいつら知性は高くねぇ。正面の囮がまともなら、サイドはがら空きになる」
(確かに『狂火乱武』の皆も最初はそう戦ってたな。派手さは無かったけどヒット&アウェイを使って確実に倒してた。)
「とは言うものの、油断はするな?能力値通りの強さはある。ギルドが推奨するパーティは7人以上となっているが、Dランクパーティで相手にできる突撃種は3体までだ。これ以上は即撤退しろ。突撃種3体だけでもキツいが、その後に飛行種が控えてる可能性もある。奴らが加わったらお前らのようなヒヨッコ、数秒で瓦解する」
アルの頭に『狂火乱武』が一瞬にして崩れた映像が流れる。
(1パーティ3体まで……あの時のギガは、1人で3体相手にしてた。強い人……だったんだな。飛行種さえ来なければ、ギリギリ勝てたのかな?)
アルの疑問に答えられるギガはもうこの世に居ない。アルは無理のない戦闘を心がけようと誓った。
「次は『飛行種』だ。こいつは攻撃力が高く、防御力は低い。人類換算の能力値は『S:90』『V:35』『A:60』ってところだ。全能力値が突撃種に劣るが、こいつは知性が高くて厄介だから気を付けろ」
(食人巨蟲の分際で知性って……なんか、ムカつく)
「食人巨蟲と戦闘になるとほとんどの場合、真っ先に突撃種と交戦する。飛行種はその後にコッソリと付いてくる。俺たちが突撃種に集中しているところへ、上空から強酸をばら撒き、一網打尽だ」
(確かに。あの時も強酸攻撃で一気に勝負がついてた……)
「後でポジショニングの説明をするが、こいつが出現したら中衛か後衛が遠距離攻撃で即処理しろ」
(遠距離攻撃。僕の魔法だな。それと、ポジショニングって、戦う場所のことかな?)
「では最後に『毒狩種』だが、こいつはかなり厄介だ。攻撃もしてこないし、防御力も皆無だ。個体数も多くねぇ。それこそ能力値も『S:0』『V:3』『A:5』こんなもんだ。この数字は覚えなくてもいい。変わりに絶対頭に入れねぇといけねえのが、『毒』だ」
(毒……刺されたら死んじゃうとか?)
「こいつは、本体もしくは触手に人間が触れた瞬間、破裂して広範囲に毒を撒く。巣の内部で撒かれた場合はほぼ避けられない。巣の外であれば風上に素早く逃げれたら躱せるだろう。で、毒の効果だが『痒み』だ」
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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