トイレの男

羽弦トリス

第1話序章

僕は過敏性腸症候群を患っている。

下痢か便秘の繰り返し。本日は、夕方6時から飲み会。

この飲み会を楽しむ為に、体調を整えてきた。

薬も飲んでいる。電車で目的地最寄り駅まで移動する。

もちろん、事前に自宅でトイレに行き、これ以上何も出ない!って言うほど出し切ってから外出した。

電車は20分だけ。20分だけ我慢すれば駅にトイレがあるし、コンビニも多いし、飲み屋のトイレかある。

前日は、酒を控えていた。この日の為に。

電車に乗り、5分後にお腹がゴロゴロ言い出す。

『何でぇ〜?あんだけ、出したじゃん!後15分だ!後15分頑張れば駅のトイレに行けば良い!冷静になれ、冷静になれ!』


「ハグゥッ!ハァハァ、後10分だ!後10分でトイレだ!」


「お兄さん、体調悪そうだね。座席にお座り下さい」

と、おばちゃんから言われて、

「ありがとうございます」


ブッ!


「あっ」

『うわっ!くっせぇ〜。まだ、本実は出ていない。ガス抜きは大事だ。これであと、3駅だ!』


次は今池。今池に到着です。


僕はダッシュした。

大股は開けば産まれるし、よちよち歩きでは間に合わない。

歩行計画が必要だ。

早すぎす、遅すぎず。


トイレの入口が見えた。

ここで、ちょっと油断した。


ブリッ!


一瞬で血の気が引いた。漏らしたのか?セーフなのか?

トイレに入らなきゃ分からない。

こういう時、トイレが目の前になると、気が緩み、肛門も緩む。

危険な状態。

僕は、誰もいないトイレに入ると臨界点になった。後、3歩が間に合わない気がしてきた。

ハァハァハァ、頑張れ!頑張れ!後3歩。


Emergencyアラームが鳴りだした。

ブリッ!プスッ!ブッ!


僕は荒業を使う事にした。

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