着ぐるみの夢

スナタナオキ

着ぐるみの夢

これは私が二年前に体験した話です。


その日、私はある夢を見ました。


夢の中で、私は知らない場所に立っています。


そこは森の中で、目の前には絵本にでてくるようなお菓子の家がありました。


ドアと屋根は板チョコで、壁はクッキーでできています。


大きさは山小屋のように小さく、中には部屋が一つしかないようです。


私はマカロンでできたドアノブを捻り、お菓子の家へと入りました。


すると、中には動物の着ぐるみを着た人が四人立っていました。


着ぐるみはそれぞれ犬、猫、ライオン、ゾウで、ピエロのような衣装を身につけています。


まるで遊園地で風船でも配っていそうな出で立ちです。


彼らは家に入ってきた私には気づかず、何かを見ていました。


それはライオンの着ぐるみが持っているネズミでした。


ネズミはぬいぐるみやオモチャではなく本物で、ライオンの手の上をちょこちょこ歩いています。


ライオンは部屋の壁を指さし、私には意味が分からない言葉で何やら騒いでいました。


指さす方を見ると、クッキーの壁に小さな穴が開いています。


どうやらネズミが壁をかじって穴を開けたので、そのことをライオンは怒っているようです。


すると、猫の着ぐるみがひょいとネズミをつまみ上げ、口のところへ持っていき、食べようとしました。


それを見ていたゾウの着ぐるみが、慌てて猫からネズミを奪い、いつの間にか持っていた銀色のトランクにネズミを入れました。


そして、トランクを持って私がいる方に向かってきたのです。


私はドアの前に立っていたので、急いで横に避けました。


しかし、ゾウは私の存在にまったく気づいていない様子で、そのままドアを開けて家から出て行ったのです。


そこで私は目を覚ました。


可愛らしい夢を見たな、くらいにしか思わず、私はキッチンに行き朝食を作りました。


そして、テレビをつけ、朝食をとりながらニュース番組を見ていたときです。


ある殺人事件が報道されました。


四人の男が殺人の容疑で逮捕されたらしく、彼らは借金を返さないという理由で一人の女性を殺害し、その死体をトランクに入れ、公園の湖に沈めていたというのです。


私はすぐに夢のことを思い出しました。


犯人の数は、夢で見た着ぐるみの数と同じです。


しかも、犯人がトランクに死体を入れていることも、夢でネズミがトランクに入れられていたことに似ています。


私は全身に鳥肌が立ちました。


これは単なる偶然なのでしょうか。


それとも何か理由があるのでしょうか。


今でも、ふとした時にこの事を思い出し、気味が悪くなります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

着ぐるみの夢 スナタナオキ @677527

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る