第7話 斬 ~陽炎の時代~(PC88・ウルフチーム・SLG)


大方が良い出来であるにも関わらず、一つの致命的な欠陥によって全てが台無し。

程度の差はあれど、そんなゲームは案外少なくないのではと思いますが… 私が極端な事例として真っ先に思い浮かべるものの一つ、それが本作です。


題材は「戦国時代を舞台とした国取りSLG」という、良くあるものではありますが、その中身の濃さと斬新さは、当時としても屈指ではなかったかと思います。

幾つか例を挙げてみても

○大名だけでなく、その家臣でもプレイ可

○領土を「国単位」ではなく「城単位」で表現する事により、「一国に複数の勢力が割拠」「国境を越えての移動・合戦」といった状況を表現

○悪天候化の野戦では敵の動きが接近するまで視えない、士気の高さが戦闘力や兵の損害に大きな影響を与えるといった、きめ細かな仕様

○自国の行動や他国の興亡を自動的に年表として記録し、何時でも閲覧可能

といった具合で、後には他のゲームにも取り入れられた様な要素をいち早く織り込んでいたという意味でも、実に見事なものでした。


…これで、野戦と攻城戦が別次元のものとして処理される(攻撃側に選択権がある為、例えば二万の兵が駐屯する防御力1の城を、千の軍で攻城戦を仕掛けて容易く攻め落とせる、といった按配)という異次元仕様さえ無ければ、あれ程あちこちで叩き売られる事も無かったろうに、と今でも口惜しく思っております。

一度でもテストプレイすれば判るだろう、どうしようもない欠陥でしたのに、さて何があったものやら。


プレイ前、説明書を読んでいた際に感じた高揚感と、実際にプレイしてこの仕様に気付き唖然とした時の想いは… まさに天国と地獄。


総合評価 … ★(九仞の功を一簣に虧いた見本)

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