胃カメラに映った心霊
熟成二段仕込み
服を着ているのか、いないのか
「防災行政無線の放送です。警察署から不審者に関する情報をお知らせします。〇月×日、午後3時ごろ、○○市××付近の路上で、ハエを叩く道具のような物を所持した不審者が徘徊しているとの情報が寄せられました。不審者の特徴は、年齢30歳くらい、身長180センチくらい、透明の上着に透明のズボンを着用しています。不審者を見かけた際は、すぐに110番通報をお願いいたします」
私は月刊をかると双紙『むふ』のライターである。胃カメラの映像に心霊現象が映り込んでいるのを見た人物がいると聞き、喫茶店でその人物(仮名:A子さん)の取材をしていたところ、冒頭の防災行政無線の放送が聞こえてきた。
「なんか、すごい内容の無線放送でしたね」
「物騒な世の中ですわね」
「すいません、話題がブレちゃって。胃カメラの撮影が終わった後に、不思議な体験をされたんですね」
「そうです。モニターを見ながら医師から説明を受けていたのですが」
「ええ」
「胃の中に、人の顔のような影が映っているのを見たんです」
「なるほど、それで?」
「医師にそのことを質問したのですが」
「なんと答えたんです?」
「気のせいでしょうって」
「医師は、何かを隠している可能性がありますね」
すると私のスマホから着信音が鳴った。画面には「不審者」と表示されている。ハエを叩く道具を持ち、透明な服を着ている不審者からの電話かもしれない。私は注意深く電話に出ると、自動音声が流れてきた。
「この物語はフィクションです。この物語はフィクションです。この物語はフィクションです。この物語は……」
胃カメラに映った心霊 熟成二段仕込み @Niiza_Chuo-ku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。