佐藤まみれ!~学園中の『佐藤さん』から好かれる呪いを受けまして~

川上 とむ

プロローグ

 俺は佐藤 翔さとう かける。どこにでもいる高校二年生だ。


 小学生の頃はその名前から、頭から砂糖をかけられていじめられたこともあったが、今は平凡な高校生活を満喫している。


 ……いや、数日前までは平凡だった……というべきか。


 現在俺は、呪いをかけられている。『同姓』から好かれる呪いだ。


 ……意味がわからないだろ? 『同性』じゃないんだ。『同姓』なんだ。


 呪いをかけた奴が間違えたのか知らんが、今の俺には男女問わず、同姓の『佐藤さん』が寄ってくるようになったわけだ。


 学園全体で二十人くらいの佐藤さんがいるが、中でも学園の三大佐藤――今のは俺が勝手につけたんだが、三人の美少女たちからのアタックがすごい。


 一人は、同じクラスの佐藤 七海さとう ななみ


 こいつとは幼稚園からの幼馴染なんだが、高校に入学してからはずっと無視されていた。


 思春期ってやつなのか、理由はよくわからないが。


 それが先日、突然俺に告白してきた。信じられるか? 俺だって信じられないよ。


 その日から、何かにつけて俺にちょっかいを出してくるようになった。同姓ってことで席も隣だし、俺は気が気じゃない。



 もう一人は、後輩の佐藤 凛さとう りんさん。


 妹と同じクラスで、同じ文芸部にいる……程度の情報しか持っていないが、彼女からも突然告白された。


 妹を通じて俺の情報を入手しまくっているらしく、最近ストーカー度合いが増してきて、少し怖い。



 最後の一人は、三年生の佐藤 美月さとう みつきさん。


 学園の三大佐藤の中でも一番の美少女で、地元の有名企業の社長令嬢。文武両道で品行方正、まさに非の付け所のないお嬢様なんだが……どういうわけか、このお方も俺に告白してきた。

 この三人の美少女からの告白がすべて同じ日に行われたもんだから、俺は呪いの力を信じるしかなかった。


 そんなわけで、俺は謎の呪いによって、佐藤まみれの日々を過ごすことになったのだ。

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