もしも
@a_________
消えた名前
街の標識から名前が消えたのは、いつからだっただろう。
駅名、通り名、店名、すべてが数字や記号に置き換えられていた。
戸籍も同様で、生まれたときから与えられた名前は、まるで呪いのように、人々の記憶から抹消された。
かつて詩人として名を馳せていた存在がいた。
その詩は、名前を冠した美しい言葉で綴られていた。
だが、今では誰もその名前を覚えていない。
その詩人はただ「45番」と呼ばれ、街を彷徨っていた。
ある日、かつて愛した者の名前を呟くと、かすかな記憶が蘇る。
名前には、その人の人生や経験、そして魂が宿っている。
名前を失うことは、自分自身を失うことと同じだった。
詩人は、名前を取り戻すために、かつての詩集をひっくり返した。
そこには、心の奥底に隠されていた、忘れかけていた言葉たちが綴られていた。
詩人は、かすれた声で詩を朗読し始めた。
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