第17話 雨の雫と



 目覚めれば何故か

頬をつたう涙

夢を見たわけでもなく

悲しいことを思い出したわけでもない


 気がつけば

一筋の雫が頬を伝っていた


 もう少し眠ろうかと思いながらも

灰色の空でさえ明かりを投げかけていれば

仕方なく上半身を起こし

窓を叩く雨音に誘われて外を眺める


 夏の雨は大地を育て

雨が上がれば渓谷を漂い

山脈を彷徨いながら

またやって来る暑い日差しで雲になる


 なのに私は

なぜ悲しんだのだろうか


 この景色が変わるように

涙が晴れる日が来ることを

もっと知らなければならない

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