第8話  真昼の猛暑と真夜中の初秋

 夜遅くまで音楽を聴いていた日


 耳を休ませるために

ヘッドホーンを外して

静けさを感じてみようか


 窓を開け

網戸を通して入ってくる風が

室内の冷房と同じくらいに冷たい闇の中で


 耳をすませば聞こえてくる秋の虫


 日中はあんなにも暑かったのに

陽が落ちればこんなにも涼しいのかと

忍び寄る秋を感じる真夜中過ぎ


 こんな夜は静かに虫の奏でる一定のリズム

今も昔も変わらないメロディーに酔いしれながら


 朝まで聞いてみようかしらと

目を閉じれば再び目を開いて思う出来事


 焼けた肌が冷えるまでの間と言い聞かせながら

冷たいソーダ水の栓を開けて

せめて希望に身を任せながら希望に届かず

それでも諦めない肌よりも熱い心が冷えるまでと


 また目を閉じて

感じるままの晩夏の夜

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