頼みますわよ。

ショー君がプロで初めての白星を挙げたということで、金曜日の夜にお祝いを!というわけにはいかなかったんですけど。土曜日がデーゲームでしたのでね。


ですから、日曜日のデーゲーム終わりに、うちとショー君一家で集まり、あねりんの大好きなお寿司屋さんへレッツゴーした。



勝星家待望の赤ちゃんとも対面しまして。みんなでお写真撮って。



今日はいいカツオが入りましたよという話でして、サザエとイクラちゃんとタイコさんなどが舟に乗ってやってきましてね。ちょっと笑っちゃいましたわね。



産後のあねりんの食いっぷりに、大将が腱鞘炎を再発する事態になりましたけど、何でも初めてというのはめでたいものです。



そんなショー君の頑張りがありまして、翌日も勝利を収め勝ち越し。翌カードのベイエトワールズとのカードも、小野里君、碧山君の両先発の奮闘がありましてまたも勝ち越し。


開幕3連敗スタートも、なんとか体勢を整えた形にはなった。



開幕から25試合で12勝13敗の3位。ここ1週間で3度目となる借金完済チャレンジに挑むビクトリーズは、水道橋ドームでの試合に臨んでいた。







ビシュッ!



バシィ!



「ボール!!」



「これもきわどいコースでしたが外れました。今のが連城は今日の100球目でした」


「ストライクを取ってもらってもいい高さでしたけど、バッターが良く見ましたかね」


「6回ウラ、2点を追うスカイスターズのですが、ここは本岡がよく見極めました。1アウト1、2塁とチャンスを広げまして、バッターは今日当たっている、ウェイカーです」



序盤に6点の援護を貰い、シーズン2勝目を賭けてマウンドに上がった背番号18だったが、諦めないスカイスターズ打線に苦戦。



ウェイカーに2点タイムリー。ピッチャーのところの代打マンにホームランを浴び、すっかりチームの軸となっている3番秋狭にもタイムリーを許してしまい、またピンチを招いてウェイカー。


初球変化球を振らせストライクを奪うも力んだストレートが2つ外れ………。




カキッ!!



「変化球打ちました!!打球は左中間、レフトの右に落ちます!2塁秋狭は3塁を回る!!1塁ランナーも3塁へ行く!ボールは山田から中継に送られただけ!ホームイン!スカイスターズ、またウェイカーが打ちました!!5ー6!1点差に詰めよってきました!尚も1、3塁!」


「んー、ウェイカーが上手く打ちましたけど、バッテリーとしてはまた変化球で勝負しなくてはいけない状況になってしまいましたね」





「3塁側、奥田ピッチングコーチがベンチを出まして、球審から新しいボールを受け取りました。そして大原監督もベンチを出まして交代を告げます!連城はここで諦めました」


「球数が100球越えたくらいなら全然問題ない連城ですけど、今日はちょっとストレートにいつもの力強さが足りなかった印象ですね。要所要所を変化球に頼らなくてはいけなくなり、スカイスターズの各バッターもしっかり見極めて対応してきました」



「さあ、誰と代わるのか。リリーフカーに乗ってきたのは………酒屋です!左のアンダーハンド。ビクトリーズ勝利の方程式の1角!1点リードの6回1アウト1、3塁。火消しが必要な場面で酒屋がマウンドに上がりました!」



同級生リレー、いいですわね!


ベンチに下がる連城君は少し気落ちした様子だが、チームメイト達に迎えられ、グラブを外し、タオルを首に掛けると、酒屋君の投球練習をじっと見つめている。



「バッターは、6番センター谷野」



1点リードの1、3塁で左バッター。野球においてこれ以上難しいシチュエーションをわたくしは知りませんわ。



守る方はもちろん、打つ方も難しいし、走る方もムズいし、審判の方々もムズいし、何なら見ている観客もムズいシチュである。


実況と解説する人間も大変。カメラマンも大変ですわね!





色んな作戦が考えられますから。当然スクイズもあるし、1塁ランナーが動く可能性もあり、そのフリもある。


左バッターだから、キャッチャーも1塁ランナーの動きが見辛く、走ったら2塁にしっかり投げるのか、ピッチャーカットなのか。セカンドカバーに入った人間がバックホームしやすいようにショートで投げるのか。



相手ベンチを見て、自分のベンチを見て。立ち上がってホームベースの前に立ったノッチがサインを出した。


内野守備陣は中間守備。しかし、1塁が逆転のランナーですから、それを返さないように外野は深めの2段構え。走ったら、2塁で刺しますよという意思をノッチはサインで伝えた。



そのノッチが位置に戻り、ポニテ君に広め広めとジェスチャーしながらサインを出した。



セットポジションに入り、長い間合い。



俺はとりあえずの牽制をするのかなと思っていたけど、そのまま左バッターのアウトコースへカーブを投げ込んだのだ。


104キロの落差のあるカーブ。



左対左、変則アンダースロー。しっかりボールを見て逆方向という意識が強かったのだろうか。


真ん中から外のボールゾーンに逃げるボールに手を出してくれた。払ったように打ち返された打球は3塁ベース後方のファウルゾーンへ飛んだ。


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