第8話 ギースの影
**横浜市: 真夜中の空**
タカとユージは廃ビルを後にし、暗い夜道を歩きながら次の手を考えていた。彼らの頭の中には、木の実ナナの無残な亡骸の映像が焼き付いていた。
「ギース…あのカードが奴のものだとしたら、奴はまだこの街にいるはずだ。」ユージが静かに言った。
「だが、どこに隠れているかまでは分からない。奴らの裏カジノが絡んでいる可能性が高いが、あの場所は地下にある。おまけに、スイス銀行の暗号通貨も絡んでいるって話だ。」タカが答えた。
「それに、奴らはただの犯罪者じゃない。何か大きな陰謀が動いている。」ユージは鋭い目で周囲を見渡しながら、考えを巡らせた。
その時、タカの携帯が鳴った。電話の相手は、彼らの情報屋、陶だった。
「タカ、いい情報がある。奴らの動きを掴んだ。今すぐ会えないか?」陶の声が緊張感を帯びていた。
「どこだ?」タカは即答した。
「横浜港近くの倉庫街だ。急いで来てくれ。」陶はそれだけを告げ、電話を切った。
「行くぞ、ユージ。陶が何か掴んだらしい。」タカは短く言い、二人は急いで横浜港へと向かった。
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**横浜港: 倉庫街**
二人が倉庫街に到着すると、薄暗い明かりの中に陶が佇んでいた。彼の顔には不安が浮かんでいる。
「やっと来たか…話は短くする。」陶は焦った様子で、タカとユージに近づいた。「奴らは裏カジノで何か大きな取引をしているらしい。場所は横浜の地下鉄網の一部を改造して作られたカジノだ。そこに向かう手がかりはこのカードに隠されている。」
陶が手渡したのは、さっきタカが見つけたカードと同じデザインのものだった。
「ギースが関わっているのか?」タカが尋ねる。
「ああ、間違いない。奴は地下鉄網を利用して、横浜の街中に影響を及ぼそうとしている。スイス銀行の口座を通じて資金を洗浄し、大規模な犯罪計画を実行しようとしているらしい。」
「了解した。」タカはカードをポケットにしまい、ユージに目を向けた。「行くぞ、ユージ。奴らの計画を阻止するんだ。」
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**横浜地下鉄: 秘密の地下カジノ**
タカとユージが地下鉄の入り口にたどり着くと、そこはただの廃線と思われる場所だった。だが、カードを使って隠し扉を開けると、そこには豪華なカジノが広がっていた。スーツ姿の客たちがテーブルに群がり、ギラギラとした照明が眩しいほどに輝いている。
「これが裏カジノか…」ユージが小さく呟く。
「ここにギースがいるはずだ。」タカは周囲を警戒しながら進んでいった。
すると、カジノの奥にあるVIPルームの入り口に、黒服の男たちが並んでいた。その中に、見覚えのある顔があった。ギースだ。
「ギース!」タカが叫んで男に近づこうとした瞬間、黒服の一人がタカに殴りかかった。
タカは素早く反応し、相手の腕をつかんで「アイアンクロー」を放った。強烈な力で相手を締め上げると、男は苦痛の表情を浮かべ、倒れ込んだ。
「逃がすか!」ユージも加勢し、ギースの元へと急いだ。
だが、ギースは笑みを浮かべたまま、彼らを嘲笑うように手を振った。そして、突然地下カジノ全体が揺れ始めた。
「何だ!?地震か?」タカが叫んだ。
「いや、奴が何か仕掛けたんだ!」ユージが咄嗟に判断し、周囲を見渡した。
その時、天井から巨大なスクリーンが降りてきて、ギースの姿が映し出された。
「この街は俺のものだ。」ギースの冷徹な声が響き渡る。「そしてお前たちはここで終わりだ。」
その言葉と同時に、カジノ内の全ての出口が閉鎖され、煙が充満し始めた。タカとユージは顔を覆いながら逃げ道を探すが、煙はどんどん濃くなり、視界が奪われていった。
「くそ…このままじゃやられる…!」タカが息苦しさに耐えながら叫んだ。
「最後まで諦めるな!」ユージがタカを支えながら言った。「どこかに出口があるはずだ!」
二人は必死に煙の中を彷徨いながら、最後の希望を探していた…。
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次章へ続く…
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