第11回 【寒いです。あぁでもベラボーだわ。】

皆さまこんばんは、もしくはこんにちは、おはようございます。

onです。




先々週、地域によっては先週から、だいぶ冷え込んできましたね…‼皆さま体調はいかがでしょうか。私は可愛げがなく、風邪をひくことがほとんどないのですが、遠くに住んでいる友人から、先日「風邪ひいた、食べ物届けて」という連絡がきました。いやいやそれほぼネットショッピングやんかい、送料浮かそうとするんじゃないわ。

体調を崩すことはほとんどないのですが、その分(?)とても寒がりなので、他人より先に防寒具を重ね着する日々です。気太りの季節ですね(⁇)。カットソーの人がいる中で、一人冬用のニットなんて着ちゃってます。まぁ…正式な場ではないので後ろ指を差されることはありませんが、多少好奇の目を向けられることも…。いやいや、風邪をひくよりよっぽどまし‼です。


さてさて、近況ですが、寒さが厳しくなったことも相まって、余計家から出なくなりました…。やっぱり読書の秋、その流れで冬までどうぞ、ですよね(違う)。ちょうど今日、ずっと欲しかった絶版本の入荷情報が入ったので、早速予約しました。それを取りに行くために、少し遠くの古本屋まで行かないといけないのですが…いえいえ、これは全然苦ではありません。ちょっと他人と出かけるのが苦手なだけで、全然出不精なんかじゃないんですよ、本当ですよ。あぁ、早く本届かないかなぁ(早口)。




で、日々椅子に体育座りで丸くなりながらページをめくる日々なんですが、最近手に取った本の中で、頭がぴっかーんとなったものがあったので、ぜひ紹介させてください。

青春出版社「48年目の誕生秘話 『太陽の塔』岡本太郎と7人のサムライたち」という題名からお分かりの通り、1970年に開催された通称”大阪万博”のシンボルとして建てられたあの”太陽の塔”についての本です。形としては、南青山にある岡本太郎記念館の館長・平野ひらの暁臣あきおみさんが、”太陽の塔”建設に際し中心的人物だった7人の技術者に話を聞く中で見えてきた、当時の万博や日本の様子、芸術家・岡本太郎の姿などをありのままに書き留めた、ルポタージュに似た作品です。

私はとにかく絵が下手で、図工・美術は大の苦手科目だったのですが、その分立体(特に粘土)や鑑賞は好きで、美術作品は大好物です。とはいえそこまで教養が深いというわけではないのですが…。睡蓮(クロード・モネ)を見れば「あぁ綺麗」、見返り美人図(菱川師宣)を見れば「うーん髪がうどんみたい」と思う程度です。でも悶々としているときに、自分では到底思いつかないような作品、ある意味小説と同じ芸術を浴びると、正気に戻って一旦気持ちをリセットできるような気がして、細々と色んな美術館に通っております。

岡本太郎の作品は、何というか…その、とにかく、インパクトドンっ、印象バンっ、という感じで、幼い頃からとても…激烈なイメージがあって鑑賞しやすい、という感覚でした。記念館等に足を運んだことはあったのですが、中々関西へ行く用事がなく…。ですが今年の前半、ついに念願の”太陽の塔”を拝みに行くことができました。もちろん静かな部屋の壁に飾られた絵も大好きですが、規格外の”太陽の塔”が、開放的に両手を広げて悠々と空を仰いでいる姿は、他にはない格別の価値がありましたね…‼そこで初めて、復元作業を行わなければ再び一般公開をすることも叶わなかったということを知りました。岡本太郎の作品がこれほどまでに愛されていなければ、唯一無二でなければ、私は邂逅できなかったと考えると、彼の残した功績にひれ伏すばかりです。


(これ以降、1970年に開催されたものを”万博”、2025年に開催予定のものを”大阪・関西万博”と区別させていただきます)


で、肝心の本の感想なのですが、まぁ面白いですね‼

まずとにかく驚いたのが、あれだけの大迫力な(と言っても教科書で見たことしかないのですが)万博の中心メンバーが、20~30代の、所謂新人世代で構成されていたこと‼来年には大阪・関西万博が開催されますが、現在私の耳に届いているのは、予算が高騰している、参加辞退国が出ている、マスコットキャラクターの声が少し怖い、くらいで、特にこれといった意外性を持ったエピソードに出会えたことはなく…。もちろん、敗戦からの立ち直り、という節目のような時期に行われた万博とはまるで状況が違いますし、SNS等の普及によって世界が一体化した現代において、最先端の技術はもはや一か所に集める必要などない時代になってしまったということも踏まえるべきなのですが、どうしても大阪・関西万博より過去に行われた万博が華やかに見えてしまうのは、私の色眼鏡なのでしょうか。

ここまでつらつら語ってしまいましたが、万博に、そんな爆発的なエネルギーを感じる所以が、この本を読んでようやく分かった気がします。国家を傾けるほどの莫大な金額を投資して作る万博に、下手したら”若造”と形容されてもおかしくない年齢の人間をあてがえるくらい、当時の日本は鋭気に溢れていたんでしょうね。過去の偉人を登用するのではなく、未来を担う若者に実権を握らせ、その明るさと覇気に任せてしまおうじゃないか、なんて考え、今の日本にはきっと、どこを探してもないでしょう。だからこそ眩しいし、憧れを抱くんです。でもその時点で私は確実に、過去の栄光を見つめるだけの、典型的な現代日本人に落ち着いてしまったわけですね。

…はぁ、難しいものだわ…。だって素敵だもの、”太陽の塔”(それだけじゃない)…。


また、この本では7人の方にお話を伺ったわけですが、その中でも岡本太郎の印象がかなり異なっているのが驚きでした。「あの”岡本太郎”に選ばれて誇りと自負心を抱いた」とおっしゃる方もいれば、「”岡本太郎”は一種のタレントのように見られていた側面もあった」とおっしゃる方もいて、それぞれの専門の立場(建築・アートなど)から感じる”岡本太郎”が垣間見ることができました。故人となった今となれば、(もちろん私が特別そう思っているところもあるのですが)大概”巨匠”のように一緒くたに扱われることが多い印象ですが、共に仕事をした7人にとっては、自分と”岡本太郎”の間にズレを感じたりすることもあったのだなぁと、変に納得しました。よくよく考えてみれば、私達もクラスメイトに、特別勉強ができる子がいたら、頼りつつも遠巻きに見ることが多いなと思い出しました。すごいすごいと持ち上げつつ、どうせこんな問題も解けないんだって馬鹿にしてるんでしょとか考えてるかも、それのもっと規格外バージョンだったら…うーん、そんな人と対等に意見を交わせるだなんて、7人の方々も相当すごい人だったんだろうなぁ…。


現在、”岡本太郎”は亡くなり、お会いすることは叶いませんが、最早彼の遺した”岡本太郎”という存在そのものが芸術となり、様々な解釈を生み、人々を考えさせ、ときに到底敵わないという破壊的な絶望を、ときに私達を突き動かすような希望を、いつまでも抱かせ続けるのかなぁと思わされます。今後時が進むにつれて、”岡本太郎”にじかに触れた方々もいずれ少なくなっていくことでしょう。まだ、その地面が湿っているうちに、”岡本太郎”、そして”太陽の塔”が人々の記憶に刻まれている内に一度、この本を読んでみてはいかがでしょうか。彼のことなんてきっと1mmも理解できませんが、当時の日本が後押しした”ベラボー”なエネルギーを感じられると思います。


今回もまたまた私見が多く、読みにくい部分が多々あると思います。また、私は政治に関しても芸術に関しても素人であるため、通説やセオリーを知らずに一人語りをしている箇所も多くあると存じています。不快な思いをされた方がいらっしゃいましたら、ここで深くお詫びを申し上げます。




最後になりますが、今回も最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました‼






【キーボードを力任せに打つと、冬時は指の腹が痛む】on


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