第13-2話
雲一つなく月だけがひときわ燦爛たる夜。
インモラルはアデルの手を取り、すぐに自分の邸宅へと連れて行った。
インモラルはシャワーを終えて出てきたアデルをすぐベッドに寝かせた
そうしてアデルの首を舌でゆっくりと味わった。
鍛えた体も弱いところはあったのか、変わった声がした。
インモラルは子供のように甘いものが好きだった。
首筋と耳の先、分厚い唇、柔らかいへその下を味わったのもそのような理由からだった。
その4ヶ所以外は何も触れなかった。
それなのにアデルは完璧に崩れた。
インモラルへの普段の荒い息づかいは、もう違う方向へと荒れており、インモラルはとことん自分の好みだけを優先視した。
完全に一方的な状況だった。
アデルが少しの不満も言わなかったのは、そのすべてが完璧だったからだ。
邸宅の寝室に月明かりが灯っていた。
二人の夜はそうして深く深くなっていった。
インモラルはふと回想から正気に戻った。
窓から入ってくる朝日のせいか、アデルは徐々に目を開けていた。
偶然にも目覚めたアデルと目が合ってしまった。
朝ドラであればお互いにキャッっと驚き、昨夜の選択を後悔するという表情を見せたはずだ。
しかし、アデルは違った。
その反対だった。アデルは手をさっと上げてインモラルの顔をゆっくりとなでた。
「寝起きの姿もなかなか素敵だ。」
その言葉にインモラルは反応しなかった。初めての経験だったからだ。
インモラルはアデルを静かに見つめた。
アデルはインモラルの眉を親指で優しく触りながら言った。
「不思議だな、弱虫な男がどうやってあの状況であんな策を講じてきたのか。」
「からかうな。」
インモラルは自然にため口で話した。
アデルはむしろそれがよかったのか、クスクスと笑った。
「そうじゃない。すごいという意味だ。そんな無謀な策を練って行動する人は珍しい。特に職責が重い人ほど。」
インモラルはその言葉を理解していた。
もしアデルに負けていたら多くのものを失っただろう。
生徒たちの成長力、校長としての地位、アカデミーの体系など…。
一つ狂えばアカデミーにも致命的だ。だが、それが全て崩れる可能性があった。
インモラルは無愛想に言った。
「昨日起きたことは私にとって些細なことだ。私はアンビションアカデミーと一緒に頂上まで行くつもりだ。」
アデルはその言葉に妙な迫力を感じた。
インモラルはいつの間にかベッドから起き上がり、アデルはインモラルの背中を見た。
「傷跡が多いのは私と同じだが…私とは深さが少し違うのかな…。」
その日からアデルは変わった。
生徒たちに本格的に剣を教え始めたのだ。
アデルは今まで面倒くさいとわざと授業をしなかった。
しかし、インモラルと同じベッドで起きてから、まるで別人になったかのように本格的に教授の本分を果たした。
すると、剣術専攻の生徒たちはレベルがぐんぐんと上がり始めた。
アデルは生徒たちを訓練しながら考えた。
(インモラルについて行けば、ルイビトンにあると思っていた何かを見つけられるかもしれない。それがきっと私の止まってしまった剣の道の鍵になるだろう。)
その後まもなくだった。
アンビションアカデミーの生徒たちが初めてのダンジョンに入らなければならない時が近づいてきた。
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