第13話 分岐性のアルゴリズム2
いつもは微塵も通る気のない様な道なき道を進み、廃ホテルへと向かう。道中の草木は生い茂り、道は凸凹でかなり古くから使われていない事が分かる。長らく人が通った形跡は無く、獣達の痕跡しか見当たらない。
適当に選んだ筈の場所だが、本当に曰く付きの場所の可能性があると思わせる様な雰囲気だ。
ちょっと怖い。ってかちびりそう。
「しかし、それにしてもすげぇ道だな。割と近所な所にこんな良い場所があったなんてな。しかも、それがお前のおすすめスポットだなんて、全くもって驚天動地だ。」
「別に俺だって完全に興味がない訳じゃないさ。年頃の高校生なんだから少しぐらいはそういうスポットも知ってるさ。霊の出る廃墟のひとつやふたつやさ。」
「確かに意外だよね。かいなくんってそういうのが苦手なイメージがあったからさ。」
ささみやには俺が心霊系が苦手な事がバレてるだと!?コイツには伝えて無いはずなのに。やはり、鋭い。
「まぁ、怖すぎてちびっちゃうんじゃないかしら?」
「チビらねぇよ。何歳だと思ってるんだよ」
「えっ?永遠の高校生でしょ」
「留年してるじゃねーかよ。おいおい、勘弁してくれよ。
最近成績不振で本当に留年しそうなのに。縁起が悪いぞ」
すると高見は俺の肩をポンと叩きこう言う。
「まあ、留年してもギリ友達だからな。後輩にはなるけど。」
どの口が言ってるんだと思ったけどその件に関してはスルーしておこう。
「高見の後輩だけは、マジで勘弁ものだ」
道なき道も、他愛もない世間話をしているうちに抜け、その目的の廃ホテルへとやってきた。そのホテルには数々の蔦が張り巡られていて、いかにもな雰囲気をその外壁から物語っていた。
しかし、この場所には奴はいない。つまり、安全地帯なのである。
幽霊云々よりも人の方が怖いのだ。幽霊はあまり干渉してくる事はなかろうが、人間はこちら側に干渉してくる為、怖くてたまらない。
何故なら、人を殺すのは、基本的にヒトなのだから。
「うわ、スッゲー不気味だな。思ったよりもガチっててやばいな」
「へぇーー。こんなにもしっかりとした心霊スポットなんて初めてですー。めちゃくちゃ気になりますー。」
「おっ、お前もテンションぶち上げて来たか!!」
何も知らない二人は無邪気に飛び跳ねはしゃいでいるが、俺と玲は謎の不安感に駆られていた。
「俺が来たのは心霊ホテル、お前が来るのはラブホテル!!」
「おい、その下手くそで何にも韻の踏めてない聞くに耐えないラップをするのはやめてくれ。」
「不快ね」
「耳が腐りますー」
俺、玲、佐々宮が口々に高見のラップもどきを酷評する。恐らく高見のラップは点数にすると2点ぐらいのクオリティだろう。
「おいおい、そこまで言わなくてもいいだろう?」
高見は目と口を点にしながらショックを受けていた。
「まあ、高見だしな。」
ただ一言結論が出た。
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