人形たちのお話
黒猫 優太朗
自動人形のお話
これはまだ、彼女達がマキスと呼ばれる前のお話。
「ティアムス殿、新作の方はどうでしょう、そろそろ設計は終えられているのではないでしょうか。」
テーブルの向かいのまるまる太った男がいつもと同じセリフを吐く。
「いえ、前回もお伝えしましたが、新作の予定はありません…一度あなた方に売却した物だ、返せとは言わない、が…あのような使われ方を見て、私はもう二度と新しい自動人形を作る事は無いでしょうとお伝えしたはずです。」
何度同じ事を言っただろうか。
「ティアムス様、お時間です。」
ベゴニアにいつも通りの助け舟を出してもらい、椅子を立つ。
「ふふふ、ティアムス殿は分かっていらっしゃるのですかな?」
男の言葉に足を止めた。
「また戯言ですか…」
ベゴニアが呆れた様に言う。
「いい。」
右手を肩程に上げ、ベゴニアの小言を止めさせる。
「もし…
「違う…ベゴニア、始末していい。」
勘違いして発言した男に否定を入れて、許可を出した。
「え?」
男が余裕の無い声を出す。
返り血が体にかからない様に、私は部屋から出た。
扉を閉めると、飛沫とそれが壁にかかる音が木の扉を通して聞こえてくる。
(どうせ一か月後には、何事も無く新しい奴が送られてくるんだろうな、今回は20年ちょっとか…)
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