第22話「キジマさん」(フ完全版) 7

 この話し手の女性は、橋元菊子(ハシモトキクコ)と言って耀子と同学年の生徒であったが、耀子の友人でも無ければ話をした事も無かった。

 聞き手だった方は鈴木美津子(スズキミツコ)と言い、彼女もまた耀子とは何の付き合いも持っていなかった。


 生前木嶋耀子は、真面目で学業は優秀、見た目は美しく、その所為なのか人を寄せ付けない雰囲気オーラを纏っていた。亡き母親の代わりに主婦としても働いていたので、大学では学業以外の付き合いをあまり持たなかったのもあるかもしれない。

 恋心を寄せる男子はかなりいたのだが、誰も告白するには至らず。耀子自身も自分がそんな男子に人気があるとはゆめゆめ思ってもいなかった。


 橋元菊子は明るく、人懐こく、友人も多く、特に男友達が多かった。

 だが、そんな男友達の口からたびたび発せられる「キジマヨウコ」の名はあまり面白いものではなかった。


 ある日、橋元菊子は鈴木美津子と男友達2人を呼び出して話し始めた。


 「ねぇ、肝試ししない」


 

 

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