第10話3つ目は問題

 3つ目の問いだが、答えは

「キジマさんに会いました」

 この答えは当時から僕を悩ませていた。

 過去形なのだ。僕はキジマさんに会った事は無い。会った事が無いのに「会いました」と答えねばならない。

 嘘を吐かねばならないのだ。

 相手は幽霊だし、危害を加えられるかもしれないのだから、嘘を吐いても構わないのかもしれないが、嘘がバレるのも怖い、もしかしたらこれは引っ掛け問題で、用意されている答えの方が実は間違いなのかもしれない。

 そんな事を考えていたら、答えを覚えても何ら解決にならず、恐怖は募る一方だった。

 とにかく、答えがあっても問いが解らぬのが僕にとって不安と恐怖の素だった。


 でもとにかく考えてみよう。あれから少しは大人になったのだから。


「おまえはどこかで私に会った事があるか?」

 これなら何とか用意された答えで対応出来る。

 「どこかで〜」と尋ねられたら、自分が記憶していないどこかで会っていたかもしれない。だから「会いました」と答えてもそれは嘘にならない(かも)。でもかなり厳しい。


 

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