キジマさんを探して

キヒ・ロフン

第1話昭和四十七年

 もう50年以上昔の事だ。

 僕が小学校の低学年だった頃、学校でとても怖い怪談が流行った。

 それは「キジマさん」という話で、別段話の内容は大して怖くは無い。

 「キジマさん」なる女性が事故に遭われて亡くなった、というお話だ。

 だがこのお話を聞いた者には、聞いた日から3日後の深夜、枕元にキジマさんが現れ3つの問いを投げかけてくる、そしてそれらに正確に答えられなければ何かとてつもなく恐ろしい目に遭わされる、らしい?のだ。

 この”恐ろしい目”と言うのは、殺されるのか、何か苦痛を強いられるのか、具体的には誰にも判ってはいなかった。

 そもそも「キジマさん」の問いに正確に答えられるか以前に、深夜自分の枕元に「キジマさん」(幽霊)が現れると言う事だけで十分に恐怖だった。


 僕はこの3つの問いの答えを現在いまでもはっきりと覚えている。


 1 「はい」

 2 「キジマさんに会うためです」

 3 「キジマさんに会いました」


 答えは判っているのだが、問いの方は判らない、ただこの順番で質問に答えればキジマさんは大人しく帰ってくれるハズなのだ。

 

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